4月 04

生誕140年記念
津田青楓とあゆむ明治・大正・昭和展
練馬区立美術館

津田青楓。私はこの画家を知らなかった。
「文豪夏目漱石に愛された」画家とのこと。
いい絵がたくさんあった。

彼の絵は、その作風を大きく2回変えている。
彼には、大きくは3つの時代があったようだ。

1つは「文豪夏目漱石に愛された」画家として、夏目やその仲間たちの本の装丁などを一手に引き受けていた時代。
彼は日本画と洋画の2つともに学んでいて、さらにはデザイン画を多数書いていた。そして、夏目と出会う。木曜会のメンバーとの交友があった。

その後、昭和初頭には、経済学者河上肇との関りがあり、社会主義に大きく傾倒した。
特高に虐殺された社会主義者をキリストになぞられたような『犠牲者』はすごい。
そして思想弾圧の下で「転向」宣言し、洋画を捨てる。

その後は、南画の世界に移行し、良寛和尚にも影響を受けた精神世界を描いている。

日本の明治から昭和を、その核心部分と関わりながら生きた人だと思う。
洋画と南画の2つの世界をもって生きたところは、萬鉄五郎を思い出させた。
「転向」後に、身を寄せる場所として、南画という世界があったことをどう考えるべきか。
この問いが残された。

関心のある人には、是非お薦めしたい展覧会である。
4月12日までだが、
コロナ対応で、土日は休館しているので注意。

Leave a Reply