10月 31
次の本のことと、11月と12月の読書会
この2年あまり、牧野紀之の『ヘーゲル研究入門』の増補版を刊行すべく、そこに収録されているヘーゲルの3つのテキストについて、牧野の設問の解答、それぞれのテキストの解説と、ヘーゲル哲学全体の解説を書いていました。
本のタイトルは『ヘーゲル哲学を研究するとはどういうことか』です。そのものズバリですね。
この本では、それぞれのテキストの解説とは別に、ヘーゲル哲学全体の解説を書いたのですが、それをなかなか終わらせられずに苦闘していましたが、この10月にやっと書きあげました。来年の2月か3月に社会評論社から刊行予定です。
以下、後書き用に書いたものです。
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今回、「全体の解説」と3つのテキストへの「解説」を書きながら、思ったことを書き留めておきます。
テキストへの解説では、私の考えはほぼできており、それを書くだけでした。ただしテキスト2の付録3で取り上げている「原罪」と「悪」についてのところでは、今回はっきりと私自身の考え方をつかんだと思っております。これは思春期からの私のテーマの1つでした。
「全体の解説」では難航しました。いったんは完成した原稿を何回か大きく書き直したからです。その原因は大きくは2つあります。
1つは6章の労働過程論とそこから自己意識、自我を導出していく部分です。ここを生物の独立存在の発展として、その頂点の段階、一応の完成の姿として提示しなければならないと思いました。相互外在性の克服としてです。そこで6章以降を書き直すことにしました。
もう1つは、ヘーゲルの「時代を超える」「超えない」という論点についてです。これは前著『現代に生きるマルクス』のラストで問題にしたことです。当時この問題の答えを一応は出したつもりでしたが、その不十分さを強く感じていました。それを宿題として抱えており、それを考えるために、その後の2年間ではプラトンの『国家』や他の対話篇、アリストテレスを読み直しました。またそれに関連して、ヘーゲルの『精神哲学』『自然哲学』『歴史哲学』『哲学史』などを読みました。
私の答えを出さなければなりません。それは9章(9?3)に書きました。限界と契機の理解が核心です。そして、この答えを出した以上、それが「全体の解説」を貫かねばならないと考えました。それは独立存在の本質、相互外在性の克服と関係します。その中に、限界と契機の考えかたが確認されると思っております。
こうしたことを考え抜くために原稿の完成がずいぶん遅れました。しかしそれは必要な時間だったのだと思います。現時点での私の力は出し尽くしました。
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この後書きにあるように、2022年からプラトンの『国家』や他の対話篇、アリストテレスを学習しました。ギリシャ哲学のソクラテス、プラトン、アリストテレスの3巨頭の検討です。
またそれに関連して、ヘーゲルの『哲学史』、さらに『自然哲学』『精神哲学』『歴史哲学』などを読みました。この作業に、2年ほどをかけて取り組みました。
その成果は読書会の記録としてまとめてあったのですが、悪戦苦闘の跡が生々しく、わからないことだらけで、そのままメルマガに発表することはできませんでした。
しかし、いちおうの結果を今回出したことで、その記録を公開したいと思います。わからなかったことの一部は今ならわかるようになりましたので、それぞれの記録の終わりに、その後考えたことを追加しておきます。
ギリシャ哲学は、生きることと哲学することが一つだった時代と社会から生まれました。 しかしその後、哲学を純化し体系化する過程で、哲学が生活から分離していった面があると思います。それが現在の哲学が、生きることからは切り離されたよそよそしいものもなった面があると思います。しかし、ヘーゲル哲学はそのギリシャ時代の生活と哲学がシンプルに 1つだったところに戻ろうとする面があると思います。
さて、ギリシャ哲学の読書会の記録を公開する前に、11月と12月の読書会で、それらの記録を読み直したいと思います。
ギリシャ哲学に関心のある方は参加してください。
(1)11月23日の読書会 以下の読書会の記録を読みます。
22年5月 ソクラテス、プラトン ヘーゲル『哲学史講義?』長谷川宏訳、河出文庫
6月 アリストテレス ヘーゲル『哲学史講義?』長谷川宏訳、河出文庫
7月 『詩学』アリストテレス(光文社新訳文庫、三浦洋訳)
(2)12月14日の読書会 以下の読書会の記録を読みます。
22年9月 藤沢令夫『プラトンの哲学』
10月 プラトン『パイドン』(岩波の全集第1巻から)
申し込みは以下に
事務局メールアドレス keimei@zg8.so-net.ne.jp
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10月 12
10月19日(日曜日)読書会を開催します。
午後2時から2時間ほどオンラインで実施。
参加費は3千円です。
テキストは夏目漱石「現代日本の開化」(『漱石文明論集』岩波文庫に収録)です。
すでにこのテキストを持っている人も、『漱石文明論集』岩波文庫を用意してください。
ページ数などが違っていると、読書会が成立しませんから。
夏目は私たちが日本の近代化を考える時、最も参考になる日本の知識人だと思っています。
彼は日本の後進国性のつらさや悲しみと、誰よりも真摯に向き合いました。
近代化が西欧化であることの矛盾に、誰よりも真剣に立ち向かいました。
彼は決して逃げることはありませんでした。
だから彼は神経衰弱になり、胃潰瘍で苦しみました。
参加希望者は以下に申し込みください。
ただし参加には条件があります。
事務局メールアドレス keimei@zg8.so-net.ne.jp
4月 13
(1)5月の読書会テキストは、ウェーバー著『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』(岩波文庫)にします。
4月の小室本の読書会を深めるためです。
これまでいつか読みたいと思いながら、読む気持ちになれなかったですが、今なら読めると思います。
1989年の「改訳」以降の版を購入してください。古いものだとページ数が合わなく、読書会がやりにくくなります。
(2)月曜日のヘーゲルゼミを再開します。
午後7時からオンラインで2時間ほどを予定。参加費は3千円です。
まずは4月28日から。
牧野の「民主主義の人間観」(『哲学夜話』に収録)を実行します。
これも小室本の読解を深めるためです。
参加希望者は連絡してください。
その後、牧野紀之の「本質論と戦術論」「本質論主義の組合運動を!」を読む予定です。
中井ゼミへの参加希望者は以下に申し込みください。
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事務局メールアドレス keimei@zg8.so-net.ne.jp
ホームページ http://www.keimei-kokugo.net/
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3月 23
4月以降の中井ゼミの日程をお伝えします。
月の前半は、文章ゼミ+「現実と闘う時間」を行い、
月の後半では、読書会を行います。
いずれも日曜日で、午後2時開始予定です。
オンラインでの実施予定。
「現実と闘う時間」は、参加者の現状報告と意見交換を行うものです。
参加希望者は今からスケジュールに入れておいてください。また、早めに申し込みをしてください。
ただし、参加には条件があります。
参加費を4月から改訂します。
文章ゼミ+「現実と闘う時間」は1回4千円、
読書会は1回3千円です。
4月
13日
27日
5月
11日
25日
6月
8日
22日
7月
6日
20日
4月の読書会テキストは小室直樹『日本人のための憲法原論』集英社インターナショナルです。
※読書会では、2023年出版の「新装版」を使用します。
本書の帯にはこうあります。
「本書は本物である。恐ろしい本である。何でこんな本が存在できるのか。」(橋爪大三郎)
「憲法とは何なのか? 私たちをどこへ連れて行くのか? 憲法がわかれば日本がわかる。」
「今こそ読まれるべく、伝説の「社会学ワンダーランド」的名著が新装版になって登場。」
これはすごい本です。読んで感動しました。
この人は、物事を根本からとらえようとしています。
私の考えていることと、3,4割は重なります。
これは取り上げて、私の代案を出しておかなければならないと考えました。
どんな立場の人も、その立場から賛否を示し、反対なら代案を示さなければならない本だと考えました。
5月以降の読書会テキストは、決まり次第、連絡します。
中井ゼミへの参加希望者は以下に申し込みください。
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事務局メールアドレス keimei@zg8.so-net.ne.jp
ホームページ http://www.keimei-kokugo.net/
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2月 23
3月のゼミは
3月9日が文章ゼミと現実と闘う時間
3月23日が読書会です。
いずれも午後2時から開始で、オンラインで実施
参加費は2千円です。
読書会テキストは中井浩一の古宇田栄子との共著『「聞き書き」の力』(大修館書店)です。
この本は2016年6月に刊行したものですが、
「聞き書き」(取材)の方法論だけではなく、
中井の表現指導全体の総まとめです。
ですから副題が「表現指導の理論と実践」となっています。
20年ほどにわたって続いた「高校作文教育研究会」の共同研究の総まとめでもあります。
それをここで読み直して、
本書刊行以降の10年近くの鶏鳴学園での表現指導を反省し、
これからの鶏鳴学園での表現指導を考えてみたいと思います。
人間の表現に関心のある方々、また表現指導に関心のある方々は、ぜひご参加ください。
参加希望者は以下に申し込みください。
事務局メールアドレス keimei@zg8.so-net.ne.jp