1月 01

迎春
 
 昨年1年は不況のどん底で、政権交代も実現し、時代の変化が誰の目にも見えるものになりました。
 こうした時は、改めて一人一人のテーマや問題意識が問われます。それを不幸と受け止めるのではなく、チャンスとしたいと思います。

 大学生・社会人のゼミの1月から3月までの予定です。内容的には2つです

◇◆ 1.1月から3月までのゼミ(文章ゼミと読書会)の予定 ◆◇
◇◆ 2.ヘーゲル哲学の学習会の予定 ◆◇

◇◆ 1.1月から3月までのゼミ(文章ゼミと読書会)の予定 ◆◇

読書会の参加希望者は1週間前に、文章ゼミでは2週間前には連絡ください。参加費は1回3000円です。

ゼミやヘーゲル学習会に参加を希望される方で初めての方は、以下の項目を入れた自己紹介文を添えて連絡ください。

 ?簡単な履歴(年齢、大学・学部、仕事など)
 ?何を学びたいのか
 ?どのようにしてこのブログやゼミを知ったのか、なぜこの学習会で学びたいのか
 
宛先は以下に
  E-mail: sogo-m@mx5.nisiq.net

(1)日程
1月16日文ゼミ(1月の読書会はお休みです)

2月6日文ゼミ
2月20日読書会

3月6日文ゼミ
3月20日読書会

(2)読書会のテーマとテキスト

2月、3月の読書会のテーマは、現場でのフィールドワーク、取材、インタビューの方法と、そのまとめであるレポート、聞き書きの書き方についてです。
大学生も社会人としても、現場での調査と報告が、これからの基本中の基本になっていくと思います。これから実践する人はもちろんのこと、すでにやってきた人も、ここらで振り返ってみる時期だと思います。私もそうします。

テキストは以下です。
? 2月は佐藤郁哉『フィールドワーク』新曜社
2006年刊行の増補版です。1992の版ではありません。

本書はこの手の本として定評のあるものです。
以下はアマゾンから
「フィールドワークの背景にある考え方から方法・技法・機動力を高める情報処理テクノロジーまで、その全体像を精選のキーワードで生き生きと解説。現場調査の質を高めるための手がかり・ヒントを満載。フィールドワークを目指す人が最初に読む定評ある入門書、全項目大幅増補・改訂」。

? 3月は佐野眞一『私の体験的ノンフィクション術』 (集英社新書)

佐野は売れっ子ルポライター。その手の内をさらけ出している本。
以下はアマゾンから。
「私淑する宮本常一をベースにしつつ、処女作『性の王国』から『東電OL殺人事件』『だれが「本」を殺すのか』まで、自作の舞台裏を明らかにした自伝的文章・取材論」。
 「新世紀になろうと、IT時代に突入しようと、人間が生きるうえで調査し、情報を集め、それらを評価して自分のものとする道筋に大きな変化はない。ノンフィクションの方法とは、ある意味で、社会に生きるうえで必要なそれと驚くほど似ている。私淑する民俗学者・宮本常一の「野の取材学」を導きの糸に、節目節目の自作を振り返って率直に検証し、そこに込めた思いを語る。著者がすべての「歩き」「見」「聞き」「書く」人に向けて初めてまとめた、「自伝の面白さ」の文章・取材・調査論」。

? 4月以降は、「日本文化」「王朝文化」なるものの実態を考えてみたいと思います。平安末から鎌倉幕府成立の動乱期に、「王朝文化」を完成させる『新古今集』が編纂されました。この編集には藤原定家になるものと、後鳥羽院の手になるものの2種類が残されました。この両者の対立の意味を考えることが、今日までの日本文化や現代の芸術を考える上での大きな見通しを与えてくれるようです。それを考えます。
テキストは堀田善衛の『定家明月記私抄』(ちくま学芸文庫)と丸谷 才一『後鳥羽院 第二版』(筑摩書房)とを予定しています。

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◇◆ 2.ヘーゲル哲学の学習会の予定 ◆◇

現在、私たちの社会は大きな転換期を迎えています。高度経済成長はすでにはるか昔に終わり、全く新しい世界が生まれています。にもかかわらず、以前の制度や価値観、意識が今も支配しています。もちろん、あちらこちらで、既成の枠組みは破綻を示し、そのきしみが、あらゆるところから響いてきます。新たな世界をとらえ、それに対応する制度を作ろうと、一部の良識的な方々が努力はしています。しかし、誰もそれに成功していません。読者のみなさんは、こうした世界に放り出されているのです。

こうした時ほど、射程を長くして、今の時代の根底からしっかり考え直したいと思います。それは「近代」を徹底的に考え抜くことだと思います。「現代」は「近代」の一局面でしかありません。
ヘーゲルは、近代の原理(概念)をとらえることに成功した最初の哲学者だと思います。今も私たちは彼が規定した世界の中に生きています。彼は、私たちにとっての最強の道先案内人です。

参加希望者は連絡ください。参加費は1回3000円です。
初めての方は、自己紹介文を添えてください。詳細は「1.1月から3月までのゼミの予定」を見てください。

(1)日程など

1月10日の週から開始。曜日は不定期なので、確認の連絡をください。

(2)内容

1)ヘーゲルの原書講読 『精神現象学』序言
序文に続いて、ズーアカンプ版全集の第3巻で読みます。牧野紀之訳『精神現象学』(未知谷)を手がかりにし、ハイデガーの「ヘーゲルの『経験』概念」も参照します。
 
 ドイツ語の全くの初心者も参加できるように、サブゼミなどを用意しています。
 是非この機会に始めてみましょう。

  2)日本語の翻訳でヘーゲル哲学について学びます。
 『精神現象学』の序論に出てきた「存在の運動と認識の運動の一致」を、この夏の原書講読では丁寧に読んでみました。
 それを踏まえて、「存在の運動と認識の運動の一致」について、牧野紀之の「悟性的認識論と理性的認識論」や、マルクスの『資本論』を読んで確認します。

 以下が予定テキストです。
・マルクス 「経済学批判の序説」から3節「経済学の方法」(岩波文庫『経済学批判』311から324ページ)
・エンゲルス 「経済学批判への書評」(岩波文庫『経済学批判』254から268ページ)
・牧野紀之「悟性的認識論と理性的認識論」(『ヘーゲルの修業』に収録)と、『ヘーゲルの修業』の194ページ
・マルクス『資本論』の第1章「商品」論から第4章まで 大月書店の国民文庫の『資本論?』
・許万元の『認識論としての弁証法』(現在は『弁証法の理論』下巻(創風社)として販売しています』)

9月 29

◇◆ ヘーゲル学習会の10月の予定 ◆◇

参加希望者は1週間前までに連絡ください。

(1)原書講読『精神現象学』(ズールカンプ社版全集第3巻)

毎週行いますが、しばらく曜日が不定期になります。
参加希望者は問い合わせ願います。
10月5日(月曜)に開講。56ページ下の段落から。毎回2ページほどが範囲です。

(2)翻訳では、ヘーゲルの方法論とマルクスの方法論の比較を試みます。
隔週土曜日の午後6時から。場所は鶏鳴学園です。.

10月3日 マルクス ?資本論から「労働過程論」
17日 ヘーゲル ?概念論から「目的論」読んで確認します。
(牧野紀之訳注『小論理学』下 鶏鳴出版)
31日 マルクス ?資本論の第1章「商品」論
(国民文庫の『資本論?』92から154ページ)
  ?は配布
  ??は各自購入願います。

 参加費は1回3000円です。

9月 18

 夏休みはいかがでしたか。前半は不順な天気が続きましたね。
 ヘーゲル学習会の合宿中も、ずっと雨が降り(「こんなことは初めてだ」と地元の人も言っていました)、せっかくの八ヶ岳ですが、高原の清澄な空気を堪能できませんでした。

 さて、政権交代も実現し、いよいよ社会が大きな変化を迎えることになります。
 私たちも、社会と自分自身の課題ときちんと向き合い、次のステップへと進む準備をしておきたいものです。

 9月以降のゼミの日程をお知らせします。
 6月の読書会に初めて参加された社会人(女性)の方の感想を掲載しました。
 社会人の方は参考にしてください。
 ゼミでお会いしましょう。

◇◆ 1.9月以降のゼミの日程 ◆◇

(1)文章ゼミと読書会

 いずれも土曜日。文ゼミは午後7時より。読書会は午後2時からそれぞれ2時間ほどです。
 午後5時からは参加者の近況報告や問題意識を報告し合う「現実と闘う時間」があります。
 参加費は3000円です。

 9月19日:文ゼミ

 10月10日:文ゼミ
 10月24日:読書会

 11月14日:文ゼミ
 11月21日:読書会

 12月12日:文ゼミ
 12月19日:読書会

 年末には忘年会を予定しています。

(2)ヘーゲルゼミ

 10月に開講予定。
 毎週月曜日、約2ヶ月間行う予定です。
 午後5時からは原書講読。午後7時から翻訳でヘーゲルを読みます。
 参加費は1回3000円です。一方だけの参加は2000円です。

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◇◆ 2.大学時代以来の新鮮な経験(6月の読書会参加者の感想) ◆◇

 同じ本をみんなで読み、その経験を共有していく、という機会は大学時代以来でしたので、とても新鮮で、楽しかったです。

 今回お会いした二〇代の皆さんと普段の生活上ではふれあうこともあまりないため、自分では忘れていた社会に出始めたころの手探りな感じを思い出しました。
 でも、皆さん、若い頃に中井先生のような師に出会えたということは幸せなことですね!

 仕事が立て込むと何ヶ月も休みが無くなってしまうような生活ですが、また機会がありましたら参加させていただきたいと思います。早速メルマガにも申し込ませていただきました。

 どうもありがとうございました。

8月 27

8月6日から9日まで、3泊4日のヘーゲル学習会の合宿が行われた。参加者は私以外に6人(4日間を通しては3人)。男4人、女2人。学生4人、社会人2人だった。昨年と同じ人数だが、今どき、ヘーゲルを読むために、これだけの人間が集まってくれることは、ありがたいことだ。

昨年についで今年が2回目。4日間、とにかくヘーゲルを読み続ける。これだけ集中して朝から晩までヘーゲルを読んでいると、ヘーゲルが乗り移ったような状態になる瞬間がある。その時には、ヘーゲルが憑依して、ヘーゲルが語っているような気になる。
それは、私が私自身を追い込んだ結果でもある。私にとっては、この参加メンバーたちが本当に大切であり、彼らにヘーゲルの凄みを見せつけたいと切に願っている。

最初の2日間は『精神現象学』の原書講読で、「序言」から中ほどの10ぺージほどを読んだ。存在と思考の一致、存在の運動と認識の運動の統一について述べている範囲で、当然それを考えるのが目的だった。
この問題については、牧野紀之氏が「悟性的認識論と理性的認識論」で、わかりやすく説明している。だが、ヘーゲル自身がどう説明しているのか、それを直接読んで、そこから考えてみたかった。そして、その点で大きな収穫があった。

つまり、存在は、自から運動し、「存在」「質」といった規定を生む。それは、自分の持つ多様な性質から、こうした規定を抽象することを意味し、それは存在が認識をしていることに他ならない。(これらの例はすべて存在論のもの。牧野氏の例は、主に本質論からと言える)
つまり、ここでは抽象化、比較による規定の抽出をものが行っており、それは存在が認識をしていることに他ならない。つまり認識、思考とは、人間だけがするものではなく、最初から存在するすべてのものが、行っている。ただし、自己意識がないので、その意味が自覚できないが、人間はそれが自覚できることだけが他との違いなのだ。これには驚き、深く感動した。
(以上は、ズールカンプ社版全集第3巻の53ページ)

しかし、ヘーゲルの執拗なシェリング批判。罵詈雑言のオンパレードが続く箇所には辟易した。執念深い粘着質の在り方は、大物に不可欠の要素だが、ヘーゲルのそれは、ここでも群を抜いている。

後半2日は『精神現象学』の翻訳(牧野紀之訳、未知谷)で、第1部「意識」論(第1章から第3章)を読んだ。
4章の「自己意識」をどう導出するか。それを対象意識である「意識」論から、出している。そこが一番の関心だった。その意味は何か。そこから何を学べるのか。

3章は面白かったが、1章、特に2章の意味がよく理解できなかった。1章は存在論、2章と3章が本質論だと思うのだが、またその哲学史上の意味は一応わかるのだが、その個人の成長上の意味がよくわからなかったのだ。
3章では、現象と本質、現象と法則、説明で、対象・現象の外化と内化の無限の運動を出し、それを認識できるのは、認識する意識もまた、同じ無限の運動をしているからだと持ってくる。すると対象世界の無限は、無限であることで、意識にとっての自己に他ならず、それを認識する意識とは、自己を意識することに他ならない。そこで成立している存在と認識の一致、それが「自己意識」だ。

だから、それは、単に自己についての意識なのではない。無限として捉えられた対象世界を自己としてとらえた意識が「自己意識」で、対象意識を止揚して自己内に持っている。それが「自我」だ、ということになる。
ただし、ここに成立した自己意識自身には、まだその意味が自覚されていない。それが自覚される過程を通して、次の理性が成立する。

以上は、自我の中に、なぜ全世界が含まれているのかを考える際に、大きな意味を持つと思う。ただし、わからなかったのは、自己意識が含む「全世界」に、他者、他の意識のすべても含まれることが明示されていない点だ。「意識」論での対象に、他者の意識も含まれているのだろうか(自分の意識は常に問われている)。これは、2章の物と性質で、対象に人(他者)が含まれているのかどうか、それが不明なことと結びつく。

3日目の晩には参加者の近況報告、提出した文章の検討も行った。近況報告では、各自の今の課題、今後の取り組みなどを話し合った。
ゼミ参加から1年余りの大学生は、家族問題に悩んでいることがわかった。今、若者が自立するには、家族について、親子関係の在り方について、きちんと考えることが不可欠であることがよくわかる。秋から、この問題を考える機会を与える予定だ。

この合宿でヘーゲル哲学について考えたことは、秋以降に再検討の上、詳しく報告する。

7月 13

◇◆ ヘーゲル哲学の学習会の合宿の概要 ◆◇

8月上旬にヘーゲルの学習会の合宿を行います。興味・関心のある方は連絡ください。詳細をお知らせします。

なお、参加希望者で初めての方には、事前に「自己紹介文」を書いていただいています。
 詳細は問い合わせください。
  E-mail: sogo-m@mx5.nisiq.net

(1)日程と場所
山梨県の八ヶ岳で、8月6日から9日までの3泊4日で行います。

(2)内容は
8月6日、7日はヘーゲル『精神現象学』の序言の原書講読
8月8日、9日はヘーゲル『精神現象学』(牧野紀之訳 未知谷)の第1部「意識」論を読みます。

(3)前半だけ、後半だけの参加も可能です。

(4)関心のある方は連絡ください。詳細を連絡します。なお、初めての参加の方には、簡単な自己紹介文を書いていただいています。

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◇◆ ヘーゲル哲学の学習会 ◆◇

 夏合宿後は、10月に開講。毎週月曜日、約2ヶ月間行う予定です。

午後5時からは原書講読。午後7時から翻訳でヘーゲルを読みます。

 参加費は1回3000円です。
 いずれかだけの参加も可能です。

1)5時より ヘーゲルの原書講読 『精神現象学』序文
 ズーアカンプ版全集の第3巻と牧野紀之訳『精神現象学』(未知谷)を手がかりにします。
 毎回 2ページほどを予習してください。

 ドイツ語の全くの初心者にもできるように、サブゼミなどを用意しています。
 是非この機会に始めてみましょう。

2)7時より 翻訳でヘーゲルの『精神現象学』(未知谷 牧野紀之訳)を読んでいます。