4月 03

三種の神器 ペース、タイミング、バランス (これが本当の日本語辞典シリーズ)

ペース、タイミング、バランス。

世間では、何かに悩み、考え、実行する際に、この3点セットが良く使われる。まるで三種の神器のように崇め奉られているようだ。
この3点セットで物事を考えている人が多いわけだが、これは基本的には偶然性の立場に立っていることを意味する。それに対しては、必然性の立場があることを言っておきたい。
ペース、タイミング、バランスといった言葉は、それぞれの置かれた多様な条件下での議論で使われる。しかしそうした偶然的な条件を超える、根本的な原理・原則があり、それを押さえた段階があり、それこそがペース、タイミング、バランスを本来のありかたで位置づけることができるのではないか。

先日、山本崇雄著『なぜ「教えない授業」が学力を伸ばすのか』を読み、この本もまた、偶然性の立場の典型例だと思った。このテキストではポイントの提示で、必ずペース、タイミング、バランスといった用語が出てくるからだ。
この本は、実際の学校現場で、周囲の無理解と戦いながら、アクティブラーニングに6年間専念してきた教員の汗と涙と大いなる成果の物語である。
その目標は生徒の自立であり、そのために常に「問い」を前面に出し、生徒の自主的活動を中心に据えた授業運営をするなど、本書には正しい原則やすぐれた方法や実践が紹介されていて、学ぶことが多い。
しかし、その根本的な立場はどうかと言えば、それは偶然性の立場である。それは、本来的な自立とは矛盾するものだと思う。
                      2017年3月16日

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