1月 27

先週と先々週の『週刊金曜日』に
東北大学の前総長井上明久氏の研究不正問題をテーマにした論考を
寄稿しました。

「『科学技術立国』成って、大学滅ぶ」というタイトルです。

11月 23

公開講演・討論会のご案内 11月25日(日)
「研究不正と国立大学法人化の影―東北大学再生への提言と前総長の罪」

私(中井)は昨年から東北大、岩手大、福島大の、震災後の対応を取材してきました。
その過程で、東北大の前総長の井上明久氏の研究不正疑惑と、それへの内部告発を巡る学内の混乱を知りました。

私なりに、その研究不正と、学内の混乱の背景を考え、文章にまとめました。
その拙稿を第1章とした報告書『研究不正と国立大学法人化の影』が社会評論社から11月25日に刊行されます。
私以外の執筆者は東北大学の有志の先生方で、この問題の解決に向けて調査・研究をしてきました。その集大成の報告書です。

この出版を記念して、公開講演・討論会を開催します。関心のある方はおいでください。

以下、主催者「東北大学フォーラム」からの案内文です。
連絡や問い合わせなどは、主催者(以下に連絡先あり)に願います。

各位
標記の公開講演・討論会を下記要領で開催します。ふるってご参加ください。

趣旨
総合学術誌『ネーチャー』でも報道された、井上明久東北大学前総長の研究不正疑惑と大学運営における私物化問題は、東北大学関係者有志の5年にわたる徹底的な調査・研究によって究明され、その驚くべき全貌が克明に明らかにされた。研究不正と大学の私物化は、東北大学という一大学の問題ではない。日本の大学行政・研究費政策の歪んだ構造的背景に起因するものである。本年11月25日、東北大学有志によるこの問題の調査・研究を集大成した報告書が『研究不正と国立大学法人化の影』と題して社会評論社から刊行される。

同書では、
(1)2004年の国立大学法人化によって、研究資金をめぐる大学間、個人間の競争が政策的に強化され、研究不正発生の温床になったことが全国の豊富な事例によって明らかにされ、井上前総長による研究不正の隠蔽と大学私物化の背景には、法人化後出現した総長専決体制と、膨大な総長裁量経費、57億円超 ? この金額は、教育系の地方国立大学の年間運営費交付金はむろん、国立大学法人一橋大学の運営費交付金(56億5千万)を上回る ? の存在があったこと、またその経理に関する問題点が整理されている。

(2)約18億円の国費が投じられたJST(科学技術振興機構)の井上過冷金属プロジェクトの代表的研究成果27編の論文のうち、6編もの論文に データの改ざん・ねつ造が確認され、JSTに不正告発されたことが詳述されている。JSTは本年1月の調査報告でこの代表的研究成果27編の論文には問題がないとしていた。告発はこの調査報告の結論を正面から否定するものであるが、JSTはこの新規告発を正規に受理し、調査に乗り出していることが紹介されている。

(3)名誉毀損裁判で当初の原告の一人、横山嘉彦金属材料研究所准教授が、本年連休明けに提訴を取り下げ、大室弁護士らを解任したこと、いまやこの裁判は井上前総長一人を本訴原告、反訴被告として争われていること、最近、井上前総長は、裁判の準備書面で、不正がないと強弁していた1996年論文の自己矛盾を認めざるを得ない発言をしていること、等々、裁判の直近現況が詳細に明らかにされている。

(4)最後に、東北大学を代表する3つの付置研究所、金属材料研究所、電気通信研究所、多元物質科学研究所の元・前所長3名の名誉教授が、井上問題の深刻さを憂え、東北大学の再生のために、まず何をなすべきかを声明にしたが、この声明が全文収録されている。

本講演、討論会では、本書の核心をなすこうした4つの論点についての本書の編著者、寄稿者の報告をうけて、 報道関係者を含め、出席者との間で質疑応答を行い、問題解決の道を明確にする。

―記―
日 時 : 2012年11月25日(日) 15時 ? 17時30分
会 場 : 明治大学紫紺館(旧明治大学生協会館、リバティタワーの斜め向い側)
TEL.電話03-3296-4727
アクセス : http://www.meiji.ac.jp/koyuka/shikonkan/copy_of_shikon.html
JR御茶ノ水駅下車 徒歩5分、地下鉄神保町駅下車 徒歩5分

発言予定者 ?.「研究不正と国立大学法人化」(上記論点(1)) 日野秀逸(東北大学名誉教授)、中井浩一(教育ジャーナリスト) ?.「新たに発覚した井上の研究不正、名誉毀損裁判の最新現況」
(上記論点(2)(3)) 青木清(北見工業大学名誉教授、同元副学長)、松井恵(弁護士) ?.「東北大学再生への提言」(上記論点(4)) 齋藤文良(東北大学名誉教授、前多元物質科学研究所長) 矢野雅文(東北大学名誉教授、前電気通信研究所長) 鈴木謙爾(東北大学名誉教授、元金属材料研究所長) 司会:高橋禮二郎(東北大学元教授) 主 催 : 東北大学フォーラム
会 費 : 500円

連絡先:
松田健二(社会評論社代表):090-4592-2845
e-mail: matsuda@shahyo.com
大村泉(東北大学教授): 090-6459-1605
e-mail:iomura@econ.tohoku.ac.jp

7月 05

7月3日に、盛岡で、高校における表現指導をテーマに講演をしました。

「第一学習社」の「小論文事業部」主催の講演会で
岩手、青森の高校の先生方が五〇人ほど集まっていただきました。
国語科だけではなく、理科・社会、英語、家庭などの先生方も参加されました。

「聞き書きから小論文へ」とのタイトルで
今の高校生が、テーマや問題意識を持って、たくましく生きていけるような表現指導を提案しました。

第一部の講演後、
第二部の座談会があり、
二〇人近くの方が参加されました。

その方々は
私の『脱マニュアル小論文』『日本語論理トレーニング』、大修館書店の教科書「国語総合」につけた論理トレーニング本の読者の方々のようでした。

それぞれの方々が置かれた学校の現状や課題、表現指導の悩みなどを語り合いました。

「読者」と直接に語り合えたことで

私のやっていることが、どのように現場で受け止めてもらっているかがわかったように思います。

目の前の高校生の成長を心から願い、学内の指導体制の問題に悩みながらも、少しでもまっとうな指導をやろうとしている方々です。

こうした方々の力になれるような仕事を、これからもしていこうと強く思いました。

3月 05

日本の諸問題を海外に発信するための多言語ウェブサイトnippon.comがあります。
その教育問題特集に寄稿しました。

私の問題提起は、日本ではなかなか受け入れられないので
海外からの反応に期待しています。

全文は以下から読めます。英語版なども今後掲載されていく予定です。

http://nippon.com/ja/in-depth/a00601/

「学力低下」論争と「ゆとり」教育を検証する 中井浩一

1990年代末、日本の子どもたちの「学力低下」が問題視され、大きな論争が起こった。論争の結果、文部科学省は「学力低下」の原因とされた「ゆとり」教育からの政策転換を余儀なくされた。脱「ゆとり」の新学習指導要領が実施され始めた今、「学力低下」論争と「ゆとり」教育を振り返る。

1月 13

1月10日発売の雑誌『中央公論』の2月号に

東北大、福島大、岩手大の、震災後の復興支援活動と、法人化の関係を書いた。

久しぶりの原稿だったことと、震災、津波や原発事故という大きな課題に向き合ったこととで、取材中も書きあげるまでも大変だった。

取材中は、震災への対応や原発について考え、普段見えなかった私たちの社会の課題を考え続けた。

拙稿では、紙数の関係で、詳しくは述べられなかったが、
6月に、新書の形で、詳しく私見を発表するつもりだ。