ディベートと「聞き書き」を学び合う
高校作文教育研究会6月例会
シリーズ:「聞き書き」を学び合う 第11回
新しい学習指導要領では、「全教科での言語活動の充実」と「国語科がその中心で指導する」ことが謳われています。教科書にもインタビューやディベートが取り上げられ、そうした言語活動に取り組むことが求められています。こうしたことに取り組もうとされる方々を支援できるように、私たちの学習会も進めていきたいと思います。
今回は、ディベートの持つ教育力を丁寧に検討してみたいと思います。まだディベートを指導したことのない方も、すでに試みてきた方も、学び合える学習会を用意しました。
また、一昨年から取り組んできた「聞き書き」シリーズですが、今回はこれまでの例会報告の中で取り上げた生徒作品から2作品を選び、その生徒作品をじっくりと読み直してみたいと思います。表現指導では、事前指導でどのような生徒作品を使用するかが重要ですし、その指導から生まれた生徒作品をどう理解するかが、その実践の意義や成否を決めます。ですから、生徒作品を読みとる能力が一番重要なのですが、これが一番ムズカシイとも思います。そのためには、さまざまな観点から、その表現の意味を読み解いていく練習を積み重ねるしかありません。
どなたでも参加できる研究会です。どうぞお気軽にご参加ください。
参加予定の方には生徒作品を送りますので、連絡ください。
1 期 日 2010年6月27日(日)10:00?16:30
2 会 場 鶏鳴学園御茶ノ水校
東京都文京区湯島1?9?14 プチモンド御茶ノ水301号
? 03(3818)7405 JR御茶ノ水駅下車徒歩4分
※鶏鳴学園の地図はhttp://www.keimei-kokugo.net/をご覧ください
3 報告の内容
(1)「聞き書き」の生徒作品の分析
連載「聞き書きの魅力と指導法」の中で、以下の生徒作品4編を紹介することになりました。戦争体験の聞き書き2編は5月例会で読み合いました。今回は仕事の聞き書き2編を取り上げ分析します。
1.戦争体験の聞き書き
?小野田さんの実践から「慟哭」(中学生、三人称、創作風 古語の危険)
?程塚さんの実践から「陸軍病院で死んだ伯父」(三人称、語り手と聞き手の思いが混乱。ルポ風の書き方。)
2.仕事の聞き書き
?藤本英二さんの実践から「OLとは言え、企業戦士」(一人語り、弾けた面白さ)。藤本さんは『聞かしてぇーな仕事の話』(大月書店)で有名ですね。どっしりとした内容がある面白い作品群から一篇選びました。OLが、普段着のことばで、自分の仕事と職場の様子を語ります。ロッカールームでのOLたちの生態は抱腹絶倒。
?中井の実践から「企業戦士『親父』」(高校生、インタビュー型、問いを立ててインタビューに臨んでいる。) 親父(銀行マン)への仕事の聞き書きで、問いと答えの形で書かれますが、親父の関西弁の語り口がそのまま生かされていて迫力があります。
?と?では、文体や構成も違い、内容も弾けた面白さやシリアスな側面もあります。こうした違いも考えながら、その作品を味わってみたいと思います。
(2)高校教育における「ディベート」を考える
報告者はもう20年近く、実践を積み重ねてきた杉浦正和さん(芝浦工業大学附属柏高校の社会科担当)と、杉浦さんとともに、県立小金高校などで実践されて、現在は大学の教職課程を指導されている和井田清司 さん(武蔵大学人文学部)です。
高校における言語活動でディベートを行う意味から、その指導法、その評価までを考えたいと思います。また、ディベートによって高校生の認識はどのように深まるのか、それを実際の文章から検討したいと思います。
世間では、ディベートへの批判や反対論もありますから、そうしたことも考えたいと思います。
和井田さんには大学生(教職課程)におけるディベートの意味をも語ってもらいます。
今回の報告者のお二人が編集した単行本には以下のものがあります。
◆生徒が変わるディベート術 国土社 1994
◆授業が変わるディベート術!―生徒が探究する授業をこうつくる 国土社 1998
4 参加費 1,500円(会員無料)