3月 29

2013年に中井ゼミで考えたこと その3

2 医者との付き合い方

   あるゼミ参加者に、癌を疑われるような腫瘍が見つかり、医者からはその精密検査を
  勧められ、その結果によっては手術と入院の可能性を示唆されました。しかし、
  その報告を聞いた時に、一方的に医者のペースでことが進んでいるらしい様子が心配でした。
  選択権と最終決定権は患者にあります。その権限と責任を放棄しているように思ったのです。
  また西洋医学を相対化する視点がなさすぎるようにも感じました。

  そこで次のような私見を示しました。
                                         

     医療       2013年6月22日(一部は本年1月に手直しした) 

   問題は大きく2つある
  【1】病気や症状についての考え方
  【2】医者や医療関係者との関わり方

  【1】病気や症状についての考え方(悟性的思考と理性的思考)
   (1)総論
     〈1〉健康と病気は2項対立ではない
      それは自立と依存、善と悪の関係(性善説と性悪説)と同じ
      両者は1つである。
      相互関係であり、自己実現という目的に向かって突き進む発展の関係である

     〈2〉バカの見方
     ・病気や症状は悪いもので取り除くべきもの
      それを取り除けば、問題は消える
     ・症状は抑え込み、消してしまえばよい。
      生き方や心とは無関係
     ・ガン(病気)と「闘う」という発想のバカバカしさ

     〈3〉深い見方
     ・病気は大いに歓迎するべきもの
      それは自然の経過の1つで、健康に成長するための1つの過程として必要な
      身体の調整機能である。野口晴哉『風邪の効用』(ちくま文庫)を参照
     ・病気は体の現状だけではなく、心の現状をも教えてくれる
     ・体の変化のすべては、その生き方の必然的な結果。
      自分の生活の問題、社会の問題の反映
     ・病気は、矛盾、悪だが、成長・発展には不可欠

   (2)各論
     〈1〉人間が死ぬことをどう理解するか
     〔問い〕
        なぜ人は死ぬのか
        死ぬことは決まっている。その過程の中で病気はどういう意味を
         持っているのか。
        病気からの回復とは何か。

        死ぬことは問題ではなく、死に方だけが問題。
        死に方を問うなら、主体的な死に方かどうかが問題。
         その反対が他者に引きずり回されて死ぬ死に方
        死に方と生き方の同一。主体的な死に方とは、主体的に自立した生き方の結果

     〈2〉生きるとは
       生きていることは運動していること
       つまり矛盾を持ち、それにより運動すること。
       病気や症状を、運動=「過程」として理解する必要がある。

     〈3〉出てくるものは、出させるしかない。
       抑え込むな!
       感情(プラスもマイナスも)も、病気の症状も、矛盾も、すべて同じ
       そこにある意味を深く理解せよ!
       次のステップに向けた運動を引き起こすようにせよ!

     〈4〉心と体の関係
       心と体は一つ
       身体の変化は心の現れ
       心の声を聴くべき

     〈5〉体全体の過程から切り離された一部のみの考察には、大きな限界がある。

  【2】医者や医療関係者との関わり方
   (1)他者との主体的な関わり方(一般論)
     ┏〈1〉おとなしく意見を聞く(お任せ、いいなり)のでもなく
    ┏┃
    ┃┗〈2〉反発するのでもなく
    ┗〈3〉対等でまっとうな関係を築く
       参考意見として、じっくり医師としての考えを聞き、意見交換する
        問題解決のために共同で事に当たるパートナーとしての関係

   (2)患者と医者との真っ当な関係
     〈1〉自分のことは最終的には自分が決める 自己決定権
       他人の意見は参考意見
     〈2〉病気についての2つの考え方【1】をよく理解する
     〈3〉医者という専門家の意義と限界をよくわきまえてつきあう
       【1】のバカの見方の人が多いことに注意したい
     〈4〉医者の問いを認めると、後は自動的に、医者主導で動くことになる。
       その前提を暴きだし、それを認めるのかどうかを自分に問うべき
     〈5〉問題への問いかけ方が、答えを決める
       医者に対してどういう問いを出せるかが、その患者の立場、能力
     〈6〉医者と問いを一部でも共有できれば、パートナーとしての関係を作る可能性はある
    

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