4月 24

 5月、6月の読書会のテキストが決まりました。関心のある方の参加をお待ちします。
 参加費は1回3000円です。
初めての方には、事前に「自己紹介文」を書いていただいています。問い合わせください。
 事務局メールアドレス sogo-m@mx5.nisiq.net

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◇◆ 日程とテキスト ◆◇

 5月30日 藤田省三「精神史的考察」(平凡社ライブラリー)

 6月27日 中井久夫「精神科医がものを書くとき」(ちくま学芸文庫)

 7月25日 未定

 3月に藤田省三の「全体主義の時代状況」を読んで、あまり評価できませんでした。しかし、藤田の病気が大きな影響を与えていることは明らかなので、最も有名な「精神史的考察」を読んでみました。これは良い本です。中でも「松蔭の精神史的意味に関する一考察」には本当に感心しました。「全体主義の時代状況」に良い点があれば、「精神史的考察」のおかげだと思います。
 歴史家としては彼の方法はかなり特殊ですが、この考察方法については、きちんと考えたいと思います。私たちは、自分の生きている時代をどう認識し、どうそれと関わって生きたらよいのか。これを考えてみましょう。

 精神科の臨床医である中井久夫は名前を知っているだけでした。藤田省三が「全体主義の時代状況」で絶賛していたので読んでみたのですが、断然面白かった。文芸にも理解の深い、幅広い知識と、深い人間洞察のできる優れた臨床医だと思います。彼の仕事の中心は分裂病(統合失調症)の研究ですが、彼によって、分裂病の臨床は新たな段階に到っているようです。彼の仕事は私たちが、人間を深く考えるのに大いに役立つと思います。
 分裂病についての有名な著作「最終講義 分裂病私見」(みすず)、「精神科治療の覚書」(日本評論社)がお薦め本ですが、やはり専門的です。そこで、一般人にわかりやすく説いていることと、入手しやすい点を考えて「精神科医がものを書くとき」をテキストにします。このタイトルからも、彼のセンスと姿勢が感じられますね。

 7月には保守派の佐藤誠三郎「日本の失敗と成功」(扶桑社文庫)か、ルビンシュテインの「存在と意識」(青木書店)を読みたいと思っています。佐藤は保守思想家ですが、大きな人だと思います。東大教養部の教員でしたが、桝添要一、北岡伸一、御厨貴などが弟子です。
 ルビンシュテインの「存在と意識」(青木書店)は、人間の意識と外的世界との関係を深く考察した古典です。圧倒的な思索力を持って、新たな地平を切り開いています。
 決まりましたら、また連絡します。

 

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