高校作文教育研究会10月例会
今回の例会では3つの報告を予定しています。
1つめは生活綴方運度の歴史と思想を、大田堯氏の論文をテキストにして学習します。今、私たちが直面している問題のほとんどすべては、個々の先人たちも直面していた問題であり、先人たちはめいめいがその苦闘からそれぞれの解決策を模索し、さまざまな議論が行われました。そしてその過程から少しずつ理論と実践を深めてきました。その歴史から学ばないものは、低レベルの実践を繰り返すだけだと思います。この学習会は3回連続で行う予定です。
2つめは、中俣勝義さんいよる、鹿児島の看護専門学校での実践報告です。そこには、今の日本の貧困問題が横たわっています。この問題と正面から戦っている実践です。
3つめは私(東京の私塾・鶏鳴学園 中井浩一)の実践と問題提起です。高校段階でもしばしば経験したことにちて書かせると思いますが、その意味や、その書かせ方(文体など)について考えてみたいと思います。
みなさんの実践に参考になるヒントがたくさんあると思います。どうぞ、みなさん、おいでください。
1 期 日 2014年10月19日(日)10:00?16:30
2 会 場 鶏鳴学園
3 報告の内容
(1) 生活綴方の歴史と思想を学ぶ(第1回)
茨城 古宇田栄子
戦後、生活綴方はどのように復興し、教育運動の中心的存在となっていったのか。生活綴方の基本理念とは何か。著名な教育学者大田堯氏の次の論文を読んで、生活綴方の歴史と思想について学習します。
『大田堯自撰集成』第2巻第?章生活綴方の思想 P271?363
第?章には次の4本の論文が入っています。
?戦後の教育運動と生活綴方 P271?283 13頁
?地域の教育計画(注:若い教師NのT村における実践) P284?335 52頁
?生活綴方における「生活と表現」ー佐々木昂の仕事をふり返りながらー P336?P354 19頁
?人間的なものと科学的なものー『山びこ学校』をめぐって P355?363 9頁
全体で93ページと長いものですので、3回に分けます。今回は、?、?について学習します。
あらかじめ資料をお送りしますので、読んできてください。
参加予定者は10/5までに古宇田までご連絡ください。すぐに資料をお送りします。6月例会参加者にはすでにコピーを配布してあります。
(2) 貧困の自己責任論を乗り越える
神村学園専修学校非常勤講師 中俣勝義
桜子は『蟹工船』を学ぶなかで、なかなか労働者の実態、ましてや自分の家の暮らしには目を向けようともしなかった。そこには根強い「いくら頑張ってもダメな自分」という「自己責任論」が影を落としていた。
生活綴方とは、何よりも生活意欲の喚起であり、生活をよりよくしようとする気持ちを育てることでなければならない。とすると、桜子にその手立てはあったのか。
今回は、『蟹工船』という文化をもった学生が暮らしを書くなかで、ダメな自分を乗り越え、自分たちをダメにしている社会を変えようと、少しだけど考え始めた桜子のことを語りたい。
併せて、多感な思春期に、どんな文化を身につけさせることが大事かをも提起しておきたい。
(3) 経験を描写で書く
東京 私塾・鶏鳴学園 中井浩一
高校段階でも、さまざまな機会に経験を書かせていると思う。「自分史」や生活経験を見つめる作文、行事やクラブなどの作文、職業体験や社会活動などの作文。
では、その作文はどのような文体で書かせているのだろか。小説のように描写を中心に書かせているだろうか。それとも意見文のような文体で書かせているのだろうか。
否、ほとんど無自覚で、何ら指導がないままに適当に書かせているのではないか。
経験の作文を、どのような文体で書かせるかは、その指導目標や、表現指導全体で何を目標にするかに関わる問題だと思う。
経験を書くように求めると、高校生は、普通は意見文のように書く。それの何が悪いのか。小説のように描写を中心に書かせるのは、何の目的があるのだろうか。
実際の指導過程と成果(生徒作品)を検証し、この問題を一緒に考えていただきたい。
4 参加費 1,500円(会員無料)