本年2022年1月から3月の中井ゼミの日程と1月から3月までの読書会の詳細をお伝えします。
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読書会テキスト
(1)1月23日、2月20日はプラトンの『国家』岩波文庫 上下巻
政治家は哲学者でなければならない。
私有財産も、家族も、持ってはならない。
それはどういう意味でしょうか。
タイトルは「共和国」(今でいえば「民主主義国家」)であり、サブタイトルは「正義について」です。
『国家』は大部であり、丁寧に考えたいので、2回で読みます。
1月は上巻、2月は下巻を範囲とします。
この本に対しては、「現実的でなく、ただの理想論を展開しているだけだ」といった批判がありますが、それはとても表面的な理解だと思います。
この本は、国家の生成過程から、経済と分業、市場と国家、そして戦争へと話を進めます。
とてもリアルに国家の実態を見抜き、その問題(敵)を押さえた上で、その問題の克服を考えている本です。
その問題(敵)とは、自分だけが良ければ良いといったエゴイズムであり、そうした個人主義であり、そうした民主主義国家です。つまり今の私たちの日本社会のことです。
この本は以前から、いつか読みたいと思いながら、手が出せませんでした。
今なら、何とか勝負に持ち込めそうだと思います。
それはヘーゲルの『法の哲学』の序文で、プラトン『国家』に言及した箇所があり、そこで、この本の意図や意味について大きなヒントを得たように思うからです。
当日は、このヘーゲルの文章から始めることにします。
参加者には、ヘーゲルの文章は送りますから購入する必要はありません。
なお、「弁証法」という思考法はヘーゲル、マルクスによって有名になりましたが、もともとはプラトンが展開したソクラテスの対話法から生まれた言葉です。
そのことも考えてみたいと思います。
(2)3月20日はエンゲルス『家族、私有財産および国家の起源』国民文庫
タイトルの通りの内容です。
家族、私有財産、国家について考えるための古典であり、議論の前提となる本です。
プラトンの『国家』も、国家の起源から始まり、家族、私有財産を論じていきます。
ですから、ただ、エンゲルスの考えを追うだけではなく、プラトンとエンゲルスを比較しても考えてみたいと思います。
個人が個人としてどのように生まれたのか、それは家族から生まれた、家族と共同体との対立と協同の中から生まれたとエンゲルスは考えています。
これも検討したい論点です。
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毎週月曜日には、ヘーゲル、マルクスなどの原書購読をしています。
これは今はお休みをいただいています。
再開し次第、報告します。