3月 05

高校作文教育研究会4月例会

今年度も、全国の実践家との交流をはかりたいと思っております。

表現指導には、実にさまざまな取り組み方があります。また、高校には多様な学校があり、多様な生徒たちが学んでいます。そうした多様な実態と、その中から生まれている多様な実践、多様な生徒作品。それらと向き合いながら、表現の可能性を広く、深く、考えてみたいと思います。

4月は3つの報告があります。1つは福島県の会津農林高等学校での「聞き書き」の指導を矢澤郁代さんが報告します。「純朴な生徒」たちからどのような作品が生まれたでしょうか。
他の2つの報告は、鶏鳴学園での実践報告と、その検証です。1つは私(中井)が指導した「いじめ」の経験を見つめ直した例と、食の問題を深めるために無添加のハムソーセージ製作者に聞き書きをした例を報告します。
もう1つは大学生に、鶏鳴学園の元生徒だった立場から、鶏鳴学園での聞き書きなどの指導が、どんな意味を持ったかを報告してもらいます。彼は「不登校」で高校を中退して、鶏鳴学園で学びました。原子力発電に関心を持って、東芝のプラント設計者、原発建設予定地の住民の賛成派、反対派、福島大学の研究者などに聞き書きを行いました。幸い、大学進学もできました。彼が語る聞き書きや作文の意味に耳傾けたいと思います。
聞き書きは、今、高校生や中学生が自分と社会を見つめなおす、大きなきっかけを作ることのできる方法だと思います。

どうぞ、みなさん、おいでください。

1 期 日    2013年4月14日(日)10:00?16:30

2 会 場   鶏鳴学園
〒113?0034  東京都文京区湯島1?3?6 Uビル7F        
 ? 03?3818?7405
 FAX 03?3818?7958
ホームページ http://www.keimei-kokugo.net/
       ※鶏鳴学園の地図はホームページをご覧ください

3 報告の内容

(1)保護者に聞く―働くということ―
 福島県 県立会津農林高校  矢澤郁代

2012年度初めて「聞き書き」の授業を行いました。前任校での進路指導の反省から、担任として、国語科教員として、生徒の進路実現のために、また、国語力向上のために何ができるかを試行錯誤中です。
 現任校である会津農林高等学校の純朴な生徒に、「聞き書き」を通して付けられる力はすべて付けて社会に送り出したいと考えています。
 「聞き書きの可能性」について、皆様からご指導いただければと思っております。

(2)僕を変えた『聞き書き』−鶏鳴で学んでみて
  慶応大学1年  掛 泰輔 

 不登校だった僕の、約1年にわたる、鶏鳴で指導を受けた聞き書きの報告。僕の聞き書きの体験は、まず、高校を辞めたことを家族と話し合うことから始まった。次に、大学で何を学ぶのかが僕のテーマとなった。
僕は3.11の前から原子力発電の社会科学的な側面(労働者被曝の問題)に関心を持っていた。そこで、東芝のプラント設計者、原発建設予定地の住民の賛成派、反対派、福島大学の研究者などに聞き書きを行った。
その中で聞き書きによって僕がどう成長できたのか、また鶏鳴の指導方法のどういう点が優れていると感じるのか、またその聞き書きがどう大学受験と結びついたのか、ということを元生徒の立場で振り返りたい。

(3)高校生の成長と作文教育
                      東京 鶏鳴学園 中井浩一

高校生の成長と作文教育の関係を考えてみたい。昨年の高3生の指導から、小学校でのいじめられた経験を見つめ直した女子と、食の問題を深めるために無添加のハムソーセージ製作者に聞き書きをした男子の例を紹介する。
普段の授業や生活指導、作文指導において、どこに、どういった高校生たちの成長への契機があるのだろうか。教師はそれをどうとらえ、どう理解していけばよいのだろうか。
       

4 参加費   1,500円(会員無料)

連絡先  鶏鳴学園  ? 03(3818)7405 Fax 03(3818)7958

keimei@zg8.so-net.ne.jp

3月 04

2月28日に、朝日新聞の記者と、学研の編集者から、取材を受けた。

いずれも大学入試の近況がテーマで、国立大学の法人化の影響を考えたいとのことだった。

この時期にはこうした取材をよく受ける。

一昨年も毎日新聞社の取材を受けた。

私の考えは『大学入試の戦後史』(中公新書ラクレ)に書いた通り。

大学入試に集約的に表れた、日本社会の平等観、能力と平等の矛盾の処理方法に、私の関心はある。

日本での平等の考え方は「みんな同じ」が平等とする。

本来は、「みんな能力が違う。その種類も高低も認め合って、みながそれぞれに高めあえること」が平等だと思う。

この問題は、とても深く大きいと思っているので、何とか解決してきたい。

1月 27

先週と先々週の『週刊金曜日』に
東北大学の前総長井上明久氏の研究不正問題をテーマにした論考を
寄稿しました。

「『科学技術立国』成って、大学滅ぶ」というタイトルです。

12月 04

高校作文教育研究会1月例会の案内

早いもので、今年ももう師走になりましたね。

作文指導の研究会ではこの3年余りの聞き書きの研究成果を本にまとめられるこ
とになりました。大修館書店からの刊行予定です。

乞うご期待。

さて、来年の会は、1月20日の例会から始動します。

1月は、山形県の県立高校で長く表現指導をされてきた安孫子哲郎さんの生活綴方運動への考察、神奈川の県立高校で表現指導をしている冨田明さんの聞き書きの実践、鶏鳴学園で中学生を指導している田中由美子さんの聞き書きの実践の報告です。
聞き書きは、今、高校生や中学生が自分と社会を見つめなおす、大きなきっかけを作ることのできる方法だと思います。

どうぞ、みなさん、おいでください。

1 期 日    2013年1月20日(日)10:00?16:30

2 会 場   鶏鳴学園
〒113?0034  東京都文京区湯島1?3?6 Uビル7F        
 ? 03?3818?7405
 FAX 03?3818?7958
ホームページ http://www.keimei-kokugo.net/
       ※鶏鳴学園の地図はホームページをご覧ください

3 報告の内容
(1) 夏の課題・職業人への聞き書き
神奈川県立有馬高等学校   冨田  明
 
  毎年のように聞き書きを実践していますが、生徒が深いところまで考察して成長できたような作品になかなか巡りあえません。
  今年6月の例会での正則高校・宮尾先生の実践も参考にし、2年生全員に職業人への聞き書きの課題を出しました。その事前指導の様子と出てきた生徒作品を読んでみたいと思います。
  今年の全国教研のレポート「高等学校における「聞き書き」の実践―戦争体験者・職業人への―」も持っていき、合わせて討議できればと考えています。

(2)  聞き書きを読み合って深める
東京 鶏鳴学園中学生クラス担当  田中  由美子

  開講から1年経った中学生クラスで、先学期初めて聞き書きに取り組み、4人の生徒全員が父親に仕事の話を聞きました。どの生徒も、これまで父親とそういう話をしたことがなかったので、まずは大切な一歩となりましたが、作文の具体性には大きな差が出ました。また、作文を読み合っての意見交換が、表面的なものでしかありませんでした。

考えてみれば、同じ中学生である本人の直接の経験ではなく、ベテラン社会人の未知の職業の話が間接的に書かれている訳ですから、突っ込み合うのが難しい面はあるでしょう。また、具体性については、父親の話す内容や姿勢に想像以上の差があり、それがそのまま生徒本人の姿勢でもあるように思われましたが、私自身も突っ込み方に迷いました。

しかし、4人の聞き書きが関係付けられずにバラバラのままでは、クラス内で聞き書きを読み合う意味がありません。どんな対話を、何のために、どう引き出し、どう深める可能性があったのか、考えたいと思います。

(3)  合はせ鏡?「生活綴方の光を現代へ」PART2
                                    山形  安孫子  哲郎

いわゆる「比較文学」の領域に入るのだろうか。二冊の本を読み合わせることによって、それぞれの本の内容が、より鮮明な理解と、新たな感動をもたらす場合がある。その中から、今回は「生活綴方」と深く関わる本を取り上げ、「生活綴方」の現代日本社会における意味と役割を考察していきたい。

(1)『山びこ学校』と『遠い「山びこ」?無着成恭と教え子たちの四十年』
1951年に出版され、「戦後民主教育の金字塔」と言われた『山びこ学校』の華やかな光を浴びた表の顔と、その陰にある裏の顔が、佐野真一著の『遠い山びこ』と読み合わせることによって、浮き彫りになってくる。
(2)『小学教師たちの有罪』と『特高Sの時代』
  生活綴方運動により、獄中生活を余儀なくされた国分一太郎。彼の遺書ともいえる、1984年に発刊された『小学教師たちの有罪』は、高島真著の『特高Sの時代』と読み合わせることによって、一太郎の書かずにはいられなかった執念が、その背景と共に強烈に浮かびあがってくる。
               

4 参加費   1,500円(会員無料)

申し込みは以下に
事務局メールアドレス sogo-m@mx5.nisiq.net

11月 23

公開講演・討論会のご案内 11月25日(日)
「研究不正と国立大学法人化の影―東北大学再生への提言と前総長の罪」

私(中井)は昨年から東北大、岩手大、福島大の、震災後の対応を取材してきました。
その過程で、東北大の前総長の井上明久氏の研究不正疑惑と、それへの内部告発を巡る学内の混乱を知りました。

私なりに、その研究不正と、学内の混乱の背景を考え、文章にまとめました。
その拙稿を第1章とした報告書『研究不正と国立大学法人化の影』が社会評論社から11月25日に刊行されます。
私以外の執筆者は東北大学の有志の先生方で、この問題の解決に向けて調査・研究をしてきました。その集大成の報告書です。

この出版を記念して、公開講演・討論会を開催します。関心のある方はおいでください。

以下、主催者「東北大学フォーラム」からの案内文です。
連絡や問い合わせなどは、主催者(以下に連絡先あり)に願います。

各位
標記の公開講演・討論会を下記要領で開催します。ふるってご参加ください。

趣旨
総合学術誌『ネーチャー』でも報道された、井上明久東北大学前総長の研究不正疑惑と大学運営における私物化問題は、東北大学関係者有志の5年にわたる徹底的な調査・研究によって究明され、その驚くべき全貌が克明に明らかにされた。研究不正と大学の私物化は、東北大学という一大学の問題ではない。日本の大学行政・研究費政策の歪んだ構造的背景に起因するものである。本年11月25日、東北大学有志によるこの問題の調査・研究を集大成した報告書が『研究不正と国立大学法人化の影』と題して社会評論社から刊行される。

同書では、
(1)2004年の国立大学法人化によって、研究資金をめぐる大学間、個人間の競争が政策的に強化され、研究不正発生の温床になったことが全国の豊富な事例によって明らかにされ、井上前総長による研究不正の隠蔽と大学私物化の背景には、法人化後出現した総長専決体制と、膨大な総長裁量経費、57億円超 ? この金額は、教育系の地方国立大学の年間運営費交付金はむろん、国立大学法人一橋大学の運営費交付金(56億5千万)を上回る ? の存在があったこと、またその経理に関する問題点が整理されている。

(2)約18億円の国費が投じられたJST(科学技術振興機構)の井上過冷金属プロジェクトの代表的研究成果27編の論文のうち、6編もの論文に データの改ざん・ねつ造が確認され、JSTに不正告発されたことが詳述されている。JSTは本年1月の調査報告でこの代表的研究成果27編の論文には問題がないとしていた。告発はこの調査報告の結論を正面から否定するものであるが、JSTはこの新規告発を正規に受理し、調査に乗り出していることが紹介されている。

(3)名誉毀損裁判で当初の原告の一人、横山嘉彦金属材料研究所准教授が、本年連休明けに提訴を取り下げ、大室弁護士らを解任したこと、いまやこの裁判は井上前総長一人を本訴原告、反訴被告として争われていること、最近、井上前総長は、裁判の準備書面で、不正がないと強弁していた1996年論文の自己矛盾を認めざるを得ない発言をしていること、等々、裁判の直近現況が詳細に明らかにされている。

(4)最後に、東北大学を代表する3つの付置研究所、金属材料研究所、電気通信研究所、多元物質科学研究所の元・前所長3名の名誉教授が、井上問題の深刻さを憂え、東北大学の再生のために、まず何をなすべきかを声明にしたが、この声明が全文収録されている。

本講演、討論会では、本書の核心をなすこうした4つの論点についての本書の編著者、寄稿者の報告をうけて、 報道関係者を含め、出席者との間で質疑応答を行い、問題解決の道を明確にする。

―記―
日 時 : 2012年11月25日(日) 15時 ? 17時30分
会 場 : 明治大学紫紺館(旧明治大学生協会館、リバティタワーの斜め向い側)
TEL.電話03-3296-4727
アクセス : http://www.meiji.ac.jp/koyuka/shikonkan/copy_of_shikon.html
JR御茶ノ水駅下車 徒歩5分、地下鉄神保町駅下車 徒歩5分

発言予定者 ?.「研究不正と国立大学法人化」(上記論点(1)) 日野秀逸(東北大学名誉教授)、中井浩一(教育ジャーナリスト) ?.「新たに発覚した井上の研究不正、名誉毀損裁判の最新現況」
(上記論点(2)(3)) 青木清(北見工業大学名誉教授、同元副学長)、松井恵(弁護士) ?.「東北大学再生への提言」(上記論点(4)) 齋藤文良(東北大学名誉教授、前多元物質科学研究所長) 矢野雅文(東北大学名誉教授、前電気通信研究所長) 鈴木謙爾(東北大学名誉教授、元金属材料研究所長) 司会:高橋禮二郎(東北大学元教授) 主 催 : 東北大学フォーラム
会 費 : 500円

連絡先:
松田健二(社会評論社代表):090-4592-2845
e-mail: matsuda@shahyo.com
大村泉(東北大学教授): 090-6459-1605
e-mail:iomura@econ.tohoku.ac.jp