1月 27

1月19日からの開始(以降、毎週月曜日)
前半が「ヘーゲルの原書講読」、後半が翻訳を読んでいます。

1)5時半より ヘーゲルの原書講読 『精神現象学』序文

ズーアカンプ版全集の第3巻と牧野紀之訳『精神現象学』(未知谷)を手がかりにします。
『精神現象学』序文。初回は34ページ上から17行目からです。
2ページほどを予習してください。

2)7時半より 日本語の翻訳でヘーゲルの『法の哲学』(中公バックス世界の名著版か、中公クラシックス版)を読んでいます。

『法の哲学』はヘーゲルの「近代社会論」です。
昨年は第3部の「家庭」「市民社会」「国家」論から読みました。それを終えて第1部にもどり、その第1章まで読みました。今年は第1部の第2章「契約」から読みます。初回は、第2章「契約」と第3章「不法」を範囲とします。数回で読み終え、その後は『精神現象学』の本文を読む予定です。

1月 27

 現在、私たちの社会は大きな転換期を迎えています。高度経済成長はすでにはるか昔に終わり、全く新しい世界が生まれています。にもかかわらず、以前の制度や価値観、意識が今も支配しています。もちろん、あちらこちらで、既成の枠組みは破綻を示し、そのきしみが、あらゆるところから響いてきます。新たな世界をとらえ、それに対応する制度を作ろうと、一部の良識的な方々が努力はしています。しかし、誰もそれに成功していません。読者のみなさんは、こうした世界に放り出されているのです。

 こうした時ほど、射程を長くして、今の時代の根底からしっかり考え直したいと思います。それは「近代」を徹底的に考え抜くことだと思います。「現代」は「近代」の一局面でしかありません。

 ヘーゲルは、近代の原理(概念)をとらえることに成功した最初の哲学者だと思います。彼は、私たちにとっての最強の道先案内人だと思います。

1月 27

(1)2月 エーリッヒ・フロム (著) 『破壊 下 ―人間性の解剖 』
      紀伊國屋書店 (1975/01)

 昨年は秋葉原で起こった派遣労働者による無差別殺人が話題になりました。近年こうした犯罪が話題にされることが多くなりました。

 本書は、『自由からの逃走』で有名なエーリッヒ・フロム(フロイト派の精神分析家)が、人間の破壊衝動について書いたものです。それを本能や環境のせいにする俗論を排し、人間だけの持つ意識のありかたから説明しようとします。豊富な症例やヒトラーの人生の分析が例示されます。

 上下で800ページほどの大著ですが、核心は後半ですから、下巻を読みます。アマゾンでは「中古商品」で1000円ほどで入手できます。

(2)3月 「全体主義の時代経験 」(藤田省三著作集 6)? みすず書房 (1997/10)
 購入される方は、単行本ではなく、 「藤田省三著作集 6」をお求めください。
 藤田は『精神史的考察』で有名な歴史家です。本書は彼の遺書とでもいう本で、高度成長が終わりバブルで浮かれた80年代の精神状況を描き出します。著者は人類史と20世紀史から、その精神状況を「安楽への隷属」と規定しました。この「断絶」と「安楽への隷属」という規定は、今の時代の本質と深く関わっていると思います。

1月 27

 毎回、開始は7時より。5時からは各自の「報告会」があります。

2月
  7日 文ゼミ
 21日 読書会 エーリッヒ・フロム『破壊』

3月
  7日 文ゼミ
 21日 読書会 藤田省三「全体主義の時代経験」