1月 24
大学入試センター試験が2020年から大きく変わります。
この点について、取材を受け、意見を求められることが増えてきました。
この1ブログでもはっきりと見解を出しておきます。
以下は『こら、慶応』(2018年12月29日刊行 宝島社)というタイトルの慶応大学の「裏ガイド」の取材を受けた内容のラスト部分です。
以下は、私が書き足したものです。
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大学入試センター試験の改悪
2020年から現行の大学入試センター試験に代わって大学入学共通テストが始まる。
記述式問題が一部で導入され、英語の4技能のための民間試験が使用されることなどが話題になっている。
しかし、私はこの改革には賛成できない。現実の深刻な問題を無視した、きれいごとでしかないからだ。
現下の日本の教育の最大の問題とは、経済格差の拡大、それによる学力格差の拡大である。
特に低学力層の学力低下が止まらないでいる。それへの対策こそが急務なのである。
したがって、入試改革の議論も、当初は高校生の学力を基礎レベルと発展レベルに分けて、それぞれの「達成度テスト」の導入が検討された。
従来のセンター試験は発展レベルであり、基礎レベルのテストの導入こそが真剣に検討されていたのである。
ところがいつのまにか、基礎レベルの方は消えていまい、「発展レベル」だけが、記述式問題や英語の4技能などできらびやかな装いをもたせられ脚光を浴びることになった。
これは本末転倒である。「発展レベル」は従来のままで問題はなかった。
本当は、大学全体が入試における3段階に区分され、ほとんどの大学から入試がなくなる方向に進むべきだったのだ。
それが、今回の改革(改悪)のように、現実の問題解決に役立たない、摩訶不思議なことが起こっている。
「学力低下」が問題になっているが、激しく低下しているのは、こうした改革を行おうとしている中央教育審議会の委員たちと霞が関の役人たち、政治家たちである。
今の日本の大人たちは、自らが問題を直視できず、問題解決の能力がないことを示している。
彼らは、戦後の入試改革の失敗の歴史、SFCの失敗から何も学ぼうとしていないのである。
1月 14
高校作文教育研究会の2月例会(2月17日(日))の案内です
高校作文教育研究会は、中井が関わっている高校段階を中心とした表現指導の研究会です。
年に3・4回の例会を開催しています。
関心のある方は、以下のブログから、研究会の活動の詳細を知ることができます。
また参加申し込みもできます。
高校作文研究会ブログ
http://sakubun.keimei-kokugo.net/
2月例会は、清教学園の「探究科」の実践報告です。
すばらしい実践です。
この実践の中心で活躍した片岡則夫さんと山本志保さんが、自らの実践を語ってくれます。
またとない機会です。
実は、私(中井)は清教学園のこと、「探究科」のこと、それに関わっている片岡則夫さんや山本志保さんのことを知りませんでした。
昨年の夏の終わりに、兵庫の藤本英二さん(『聞かせて?な 仕事の話』など著書多数)からすばらしい実践が行われていると教えてもらいました。
そして、大いに驚き、嬉しかったのは、片岡さんが私の『脱マニュアル小論文』の読者だったことです。
以下、片岡さんからのメールの引用です。
「実は数年前に『脱マニュアル小論文』を読み連絡をとってみようかと考えた時期があったのです。
『「聞き書きの力」 表現指導の理論と実践』も手元にあります。
といいますのも、多くの小論文の類書のなかで、中井氏のみが生徒自らの足元を掘り下げる指導をされていたからです。
論文は結局はそこからしかはじまらない、という考え方に深く共感しておりました。
いま手元の『脱マニュアル…』を開きますと、
「無関係な題材を書くことを許容しながら、注意深く、本人の『覚悟』ができるのを待つことが肝心だ」(p.96)
に傍線が引いてあります。
テーマ探しそのものです。
手紙を書く,フィールドワークする、みなタラントンでもしてきたことです。
お会いできる機会があれば喜んで参上します。」(引用終わり)
同志と巡り合えることの喜びを、今回は強く感じました。
なお、清教学園の応援団として、藤本英二さんと教育学者の小笠原喜康さん(『大学生のためのレポート・論文術』などで有名。2月には講談社現代新書で『中高生からの論文入門』を片岡さんと共著で刊行)が参加されます。
みなさん、ぜひ、ぜひ、おいでください。
1 期 日 2019年2月17日(日)10:30?16:30
2 会 場 鶏鳴学園
〒113?0034 東京都文京区湯島1?3?6 Uビル7F
ホームページ https://www.keimei-kokugo.net/
※こちらで地図をご覧ください
3 報告内容
「探究科」9年間を振り返る
大阪府清教学園(中学・高校)片岡則夫、山本志保
大阪府河内長野市に清教学園(中学・高校)というキリスト教系の私立学校があります。
この清教学園の探求科の実践です。
大学との連携コースの1クラス40人(年度により2クラスの場合もあり)が対象で、高2、高3の2年間かけて入念な指導を行い、最終的に四万字(原稿用紙100枚)の卒論を書かせます。
目的は「生徒が主体的な学びを通じて、学問の世界に触れるとともに、自らの賜物(才能、個性)を見いだし生かす」。
自分の関心にそって各自がテーマを設定し、その問題を論じます。
そのテーマ設定にも、その調査にも、論文にまとめる際にも、丁寧な指導がなされています。
調査とは、文献調査であり、フィールドワークや取材(聞き書き)までを行います。
文献調査のためには、図書館が大きな役割を果たします。
これは2008年度から2016年度までの9年間行われた実践ですが、この間に、「図書館を使った調べる学習コンクール」で13作品が8年連続で入賞。
最高賞の文部大臣賞などを3人が受章。
こうした授業を組織する上での様々な問題をどうクリアーしていったのか。
一般に探究学習の課題とされてきたのは以下の4つですが、それにどう挑戦し、どこまでが解決できたのか。
1.テーマが決まらない。
→何度でも変更すればよく、いずれは決まる。
2.論文作成をどう指導するか。
→ピースを基礎とした論文デザインの指導をまとめた。
しかしピース作成時にコメントが書けない
3.資料が行き届かない。
→図書館の充実とレファレンスで解決。
4.やる気が出ない・論文に意義を見出せない・興味に正面から立ち向かえない。
この4点は、こうした実践をすれば必ずぶつかる難問です。
参加者同士で互いの悩みを出し合い、その克服の方法をご一緒に考えましょう。
参加希望者には、あらかじめ資料などをお送りします。
それらに目を通してから参加してください。
(中井記)
4 参加費 1,500円(会員無料)
参加をご希望の方は、下記、お問い合わせフォームにて、開催日の一週間前までにお申し込みください。
https://keimei-kokugo.sakura.ne.jp/sakubun-contact/postmail.html
1月 06
迎春
1月20日の読書会テキストが決まりました。
牧野訳注『小論理学』下巻(鶏鳴出版)で
概念論の冒頭と第1章主観的概念を読みます。
160節から193節です。
概念、判断、推理という人間の認識を、ヘーゲルは認識の発展の諸段階としてとらえなおしています。
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2019年1月以降の中井ゼミの日程は以下です。
いずれも日曜日で、午後2時開始予定です。
ただし、変更があり得ますから、確認をしてください。
月の前半は、文章ゼミ+「現実と闘う時間」を行い、
月の後半では、読書会+「現実と闘う時間」を行う予定です。
読書会テキストは決まり次第、連絡します。
「現実と闘う時間」は、参加者の現状報告と意見交換を行うものです。
参加希望者は今からスケジュールに入れておいてください。また、早めに申し込みをしてください。
遠距離の方や多忙な方のために、ウェブでの参加も可能にしました。申し込み時点でウェブ参加の希望を伝えてください。
ただし、参加には条件があります。
参加費は1回2000円です。
1月
6日
20日
2月
3日
24日
3月
10日
24日
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ヘーゲルゼミをウェブで行っています。
原則として毎週月曜日夕方から行い、
ヘーゲル哲学を原書と日本語テキストで学習します。
参加希望者は早めに申し込みをしてください。
ウェブでの参加方法も、事前に指導します。
ただし、参加には条件があります。
参加費は1回2000円です。
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12月 10
来年2019年1月以降の中井ゼミの日程が決まりました。
いずれも日曜日で、午後2時開始予定です。
ただし、変更があり得ますから、確認をしてください。
月の前半は、文章ゼミ+「現実と闘う時間」を行い、
月の後半では、読書会+「現実と闘う時間」を行う予定です。
読書会テキストは決まり次第、連絡します。
「現実と闘う時間」は、参加者の現状報告と意見交換を行うものです。
参加希望者は今からスケジュールに入れておいてください。また、早めに申し込みをしてください。
遠距離の方や多忙な方のために、ウェブでの参加も可能にしました。申し込み時点でウェブ参加の希望を伝えてください。
ただし、参加には条件があります。
参加費は1回2000円です。
1月
6日
20日
2月
3日
24日
3月
10日
24日
12月 08
大学通信の広報誌『ユニヴプレス』の2018年11月刊行の号で、中井の「文章力」についての取材記事が掲載されました。
全国の高校の進路・進学指導の先生方に読まれる雑誌です。
大学入試が2020年から大きく変わりますが、高校生に、自分の問題意識とそれを表現する能力が問われます。
それについての取材を受けて、中井が語ったことがまとめられています。
文章とは、最終的には「自分とは何か」に答えることです。
問題解決や、社会問題への取り組みは重要ですが、それもすべては自己理解から始まり、最後はそこに戻るのです。
このことを、指導者自身がどれだけ深く理解できるかに、その教育や指導の成否はかかっていると思います。
関心のある方は、以下をお読みください。
▽File_02 大学入試改革に向けて「文章力」を考える
File_02 大学入試改革に向けて「文章力」を考える
この記事を通して、全国の高校の先生方に、表現指導の意味と、それに関わることに求められる責任を伝えたいと思います。
そして、これに反応して、表現指導のために、自己学習、学習と修行が必要だと理解し、私が関わっている「高校作文教育研究会」に参加する人がたくさん出てくることを期待しています。