2月 16

◇◆ 13 身体の声に耳傾ける方法 ◆◇

人間の心や精神は、身体の状態に大きく左右されます。また、心や精神の状態は、そのまま身体に、大きく深く、影響します。
 ですから、常に身体を整えておき、精神の能力が十分に発揮できるようにしておくことが重要です。またそのためには、常日頃からその時々の自分の身体の状態を良く知っていることが必要で、そのためには、身体との毎日の対話が必要です。それがそのまま心や精神との対話になるのですから。

身体と対話するには、まずは、基本中の基本から始めるのがよいでしょう。
 人間は生きるためには、食べて、出して、寝ることが必要です。ですから、身体との対話は、まずはこの3つの状態を毎日観察すればよいのです。
 食べて、出しては、他の動物とまったく同じ物質代謝であり、これが基本中の基本です。
食べることがどうなっているか。食欲はどうか、食べることの喜びや、視覚、嗅覚、味覚の機能はどうだろうか。
次に出すこと(大便と小便)がどうなっているか。快便か否か、便秘や下痢などをしていないか。その色合いや形状、匂いはどうか。これはかなりたくさんの情報を含みますから、それらの観察と分析によっていろいろなことがわかります。自分自身の疲れや心の状態、仕事などでのストレスなどが見えてきます。
 さて、もう1つの寝るですが、これは自分の身体と心のリセットの機能です。動物は〔人間も動物です〕毎日、眠ることで死んで生き返る。それをきちんと繰り返すことで生き続けられるのです。
 寝ているときには、自分の中の無意識が働き、身体と心を回復させるように働きます。自分の潜在力を働かせ、疲れやゆがみ、こわばりをときほぐしてくれます。それがうまくいかないと、回復ができなくなり、本来の力が発揮できなくなります。ですから、眠りの状態の観察が重要です。
 寝つきはどうか。寝起きはどうか。よく眠れるか。眠りは浅いか深いか。いびきの状態はどうか。夢は見るか、どんな夢か。夢は一言でいれば、無意識からのメッセージです。
この食う、出す、寝るの3つについて、毎日観察しましょう。それで身体との対話の基本の基本は十分でしょう。

 この3つ以外でもう1つ挙げておけば、それは呼吸です。生きるための絶対条件である物質代謝には、食べて出しての他にもう1つ呼吸があるのです。
大切な状況にあっては、その時の自分の呼吸を意識し、その息の深さや浅さ、息の長さを観察すると、自分の状況がわかります。息を深くすることで落ち着くことができます。その呼吸の自覚の方法が「呼吸法」とか瞑想とかヨガとかに発展していきますが、これは先の話になります。

以上は身体の日常的な運動でしたが、身体には非日常的に起こる大きな変化があります。病気です。これについても言いたいことはたくさんあるのですが、野口晴哉の『風邪の効用』 (ちくま文庫) を紹介しておくに、今はとどめます。
病気を悪いものとしてとらえ、治して病気の前の状態に戻すことを目標にしているようでは話になりません。病気こそ身体からの最大のメッセージです。

これで大切なことは終わりです。身体の声に耳傾けるには、まずは以上をやってみることです。

2023年1月15日

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