5月 21
佐藤優『国家の罠』(新潮文庫)を読みました。
ひさしぶりに心が動かされました。
鈴木宗男事件で逮捕された外交官の「暴露本=告発本」です。
しかし、下卑たところは1点もない、見事な本です。
国策捜査とその背景の時代の変化
マスコミの実態、
外務省、検察の組織の実態
組織の中で生きる個人の生態
国家目的と官僚の関係、政治家と官僚の関係
それがあざやかに描かれています。
見事な生き方と、カスの生き方と。
それは最終的に「誠実さ」「真っ当さ」に行き着くようです。
6月27日の読書会テキストを変更し、佐藤優『国家の罠』(新潮文庫)を読みます。
当初予定していた中井久夫「精神科医がものを書くとき」(ちくま学芸文庫)は7月以降に取り上げます。
4月 24
5月、6月の読書会のテキストが決まりました。関心のある方の参加をお待ちします。
参加費は1回3000円です。
初めての方には、事前に「自己紹介文」を書いていただいています。問い合わせください。
事務局メールアドレス sogo-m@mx5.nisiq.net
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◇◆ 日程とテキスト ◆◇
5月30日 藤田省三「精神史的考察」(平凡社ライブラリー)
6月27日 中井久夫「精神科医がものを書くとき」(ちくま学芸文庫)
7月25日 未定
3月に藤田省三の「全体主義の時代状況」を読んで、あまり評価できませんでした。しかし、藤田の病気が大きな影響を与えていることは明らかなので、最も有名な「精神史的考察」を読んでみました。これは良い本です。中でも「松蔭の精神史的意味に関する一考察」には本当に感心しました。「全体主義の時代状況」に良い点があれば、「精神史的考察」のおかげだと思います。
歴史家としては彼の方法はかなり特殊ですが、この考察方法については、きちんと考えたいと思います。私たちは、自分の生きている時代をどう認識し、どうそれと関わって生きたらよいのか。これを考えてみましょう。
精神科の臨床医である中井久夫は名前を知っているだけでした。藤田省三が「全体主義の時代状況」で絶賛していたので読んでみたのですが、断然面白かった。文芸にも理解の深い、幅広い知識と、深い人間洞察のできる優れた臨床医だと思います。彼の仕事の中心は分裂病(統合失調症)の研究ですが、彼によって、分裂病の臨床は新たな段階に到っているようです。彼の仕事は私たちが、人間を深く考えるのに大いに役立つと思います。
分裂病についての有名な著作「最終講義 分裂病私見」(みすず)、「精神科治療の覚書」(日本評論社)がお薦め本ですが、やはり専門的です。そこで、一般人にわかりやすく説いていることと、入手しやすい点を考えて「精神科医がものを書くとき」をテキストにします。このタイトルからも、彼のセンスと姿勢が感じられますね。
7月には保守派の佐藤誠三郎「日本の失敗と成功」(扶桑社文庫)か、ルビンシュテインの「存在と意識」(青木書店)を読みたいと思っています。佐藤は保守思想家ですが、大きな人だと思います。東大教養部の教員でしたが、桝添要一、北岡伸一、御厨貴などが弟子です。
ルビンシュテインの「存在と意識」(青木書店)は、人間の意識と外的世界との関係を深く考察した古典です。圧倒的な思索力を持って、新たな地平を切り開いています。
決まりましたら、また連絡します。
4月 05
4月以降の文章ゼミ(文ゼミ)と読書会の日程は以下です。
読書会のテキストについては、後日発表します。
参加するには条件があります。前もって、鶏鳴学園まで連絡ください。
連絡は以下にお願いします。
e-mail:
sogo-m@mx5.nisiq.net
4月
11日 文ゼミ
5月
16日 文ゼミ
30日 読書会
6月
13日 文ゼミ
27日 読書会
7月
11日 文ゼミ
25日 読書会
※ヘーゲル学習会は5月より開始します。
1月 27
(1)2月 エーリッヒ・フロム (著) 『破壊 下 ―人間性の解剖 』
紀伊國屋書店 (1975/01)
昨年は秋葉原で起こった派遣労働者による無差別殺人が話題になりました。近年こうした犯罪が話題にされることが多くなりました。
本書は、『自由からの逃走』で有名なエーリッヒ・フロム(フロイト派の精神分析家)が、人間の破壊衝動について書いたものです。それを本能や環境のせいにする俗論を排し、人間だけの持つ意識のありかたから説明しようとします。豊富な症例やヒトラーの人生の分析が例示されます。
上下で800ページほどの大著ですが、核心は後半ですから、下巻を読みます。アマゾンでは「中古商品」で1000円ほどで入手できます。
(2)3月 「全体主義の時代経験 」(藤田省三著作集 6)? みすず書房 (1997/10)
購入される方は、単行本ではなく、 「藤田省三著作集 6」をお求めください。
藤田は『精神史的考察』で有名な歴史家です。本書は彼の遺書とでもいう本で、高度成長が終わりバブルで浮かれた80年代の精神状況を描き出します。著者は人類史と20世紀史から、その精神状況を「安楽への隷属」と規定しました。この「断絶」と「安楽への隷属」という規定は、今の時代の本質と深く関わっていると思います。
1月 27
毎回、開始は7時より。5時からは各自の「報告会」があります。
2月
7日 文ゼミ
21日 読書会 エーリッヒ・フロム『破壊』
3月
7日 文ゼミ
21日 読書会 藤田省三「全体主義の時代経験」