11月 21
政権交代が実現し、大きな変化の予感におびえたり、急激な変化に憤ったり、先の見えなさに不安を抱えている人、右往左往している人がいる。
元に戻ることを願い、様子見に徹している人も多い。民主党政権が短期で崩壊すると予測し、またはそう期待しているのだ。
しかし、短期か長期かはわからないが、今は大きな「覚悟」を持つことが必要だろう。
民主党政権の命運が短かったとしても、自民党政権時代に戻ることはないからだ。これからは、政権交代が前提で、すべてが動いていくことになる。以前にもどることはない。
この見通しを持つと、物事への対し方が従来とは変わるはずだ。
これからは「変化」が常態になるのだ。これまでは「変わらない」ことが常態だった。
「変化」が常態になる時代には、従来のあり方に囚われず、いつも問題の根底から考え直し、どこまでも本質的に考えることが要請される。
志のある人にとっては、今こそ、チャンスなのだ。
民主党政権下での教育政策に関する原稿依頼があり、上のようなことを自覚した。
11月 18
11月6日に、全国高等学校長協会の部会である、教育課題協議会において、講演をした。
新しい学習指導要領の意義についてお話しした。
内容は、9月22日のブログで報告したことと同じなので、ここでは繰り返さない。
講演会終了後、全国高等学校長協会の会長の戸谷賢司氏、事務局長の小栗洋氏と話をした。
今の全国高等学校長協会にとっての最大の課題は、高大接続テストである。
このテストの趣旨は、大学生の学力保障のために、高校生の学力保障をしようとするものだ。
しかし、この問題は、突き詰めれば、そもそも、今の日本社会にとって「高校」とは何か、を問うことになる。
高校は義務教育ではないが、一方で97%の高校進学率を持つ。
高校卒業資格は、通学せずとも試験で簡単に入手できる一方で、
通学すると卒業までの単位は膨大で3年はかかる。
小中の義務教育で「落ちこぼれ」た大量の子どもたちが、
そのまま高校に在籍しながら、実態とかけ離れた学習指導要領と単位認定を受ける。
つまり、高校教育とは、日本の教育の矛盾が集約的に現れているポイントなのだ。
そこに、今、民主党の高校教育の無償化の政策が出てきている。
本来は、「無償化」の前に、高校教育の位置づけを、再度、国民的に議論するべきだろう。
11月 16
シリーズ:「聞き書き」を学び合う 第7回
高校作文教育研究会11月例会
高校作文教育研究会は、昨年秋から1年半ほどの予定で、会のテーマを「聞き書き」として、聞き書きの可能性、授業で実践する際の具体的手だて、その課題などを検討しています。
これまで、全国の中学、高校のすぐれた実践家たちをお招きし、みなで共同討議をしてきました。今回は、その特別版です。「聞き書き」の歴史を振り返りたいと思うのです。
1960年代から70年代にかけて、都立豊多摩高校では、奈良などの地域の調査を高校生が共同で行いレポートをまとめたり、戦争体験の聞き書きを行ったりするなどの先行的な実践が行われていました。それは筑摩の国語教科書にも掲載され、全国に強いメッセージで発信されました。
その当時の実践のリーダーだった丸尾寿郎氏(教科書編纂をした小沢俊郎氏の同僚)に、
報告していただきます。当時の状況、実践の話、同僚たちとの連携、教科書に掲載後の反響などを話していただきます。
これは戦後の教育史における「聞き書き」の歴史の確認でもあり、先人の実践の継承にもなると思います。
小沢俊郎氏はすでに亡く、丸尾さんはすでに80歳を超えていますので、これがお話をうかがえる最後の機会になるかも知れません。
関心のある方は、是非おでかけください。
1 期 日 2009年11月22日(日)午後1:00?4:30
2 会 場 鶏鳴学園御茶ノ水校
東京都文京区湯島1?9?14 プチモンド御茶ノ水301号
? 03(3818)7405 JR御茶ノ水駅下車徒歩4分
※鶏鳴学園の地図はhttp://www.keimei-kokugo.net/をご覧ください
3 参加費 1,000円(会員無料)
11月 16
大修館書店のPR誌『国語教室』11月号が刊行されました。
私が参加した座談会の様子が、「新学習指導要領と国語科の『責任』」というタイトルで掲載されました。
すでに9月21日のブログで報告したように、新しい学習指導要領を入り口にして、これまでの国語教育、学校教育の問題点、その改革の可能性を論じ合ったものです。
他の出席者は以下の3人の教員です。
・藤森裕治氏(信州大学)
・釜田啓市氏(清真学園)
・臼田悦子氏(長野県野沢南高等学校)
9月22日のブログに書いたように、
今回の学習指導要領には画期的な点があります。
第1に、言語活動(思考、判断、表現)を教育活動の中核とし、すべての教科で指導すべき、とした点です。
第2に、その教育活動の中心に国語科が位置づけられたことです。
第3に、リアルな現実、生徒の体験が重視されたことです。
これは、これまでの学校教育、国語科教育の大きな課題の克服をうながすものです。
機会があれば、『国語教室』11月号をお読みください。
11月 13
11月9日。外部委員として、岐阜大学の経営協議会に参加した。
今の最大の問題は、政権交代で、先行きが見えなくなったことだ。
良くも悪くも、これまでのやり方が通用しなくなった。
第1期の中期計画、中期目標の評価も出て、
来年からの第2期の中期計画、中期目標が定まり、
いよいよ第2期へと動きだそうとした矢先。
大きな変革の嵐が吹いている。
まずは最重要なのがお金の問題だ。
しかし、来年度の予算がどうなるか、それがまるで見えない。
運営費交付金の1%削減の方針が、公約どおりに、本当に止まるのかどうかも不明だ。
特別教育研究経費も廃止が検討されている。
教員免許更新制の行方も不透明。教員養成の6年制も検討される。
医療問題。
医者養成への、医療費、医学部の定員増と予算の補充など、
すべて、まだ先が見えない。
岐阜大学の執行部は、従来確認された根本方針を堅持する覚悟を持ちながら、
変化の実態を冷静に見極めようとしている。
賛成だ。
こうした大きな変革の時には、
明確な理念、方針においてはぶれることなく
また、いたずらに、動くことなく、
実際の変化の姿を見極めることが大切だろう。