3月 14

大修館書店の『国語総合』(国総035)を指導する先生方を対象に、この教科書の評論教材に対する指導書(先生のためのアンチョコ)『論理トレーニング指導ノート』をまとめた。
その目的は、心ある先生方との「協働」を希望しているからだ。
4月からの授業の中で、私の方法が全国の高校生に届くことを期待している。

その「まえがき」にあたる部分を掲載する。

以下の目次の
5.先生方との「協働」を希望します
に先生方との「協働」への夢を書いた。

このブログの読者の中に該当者がいれば、
実際の授業の中での疑問などをお寄せいただきたい。

3.「指導ノート」の使い方
では、
「教科書信仰」を批判し、教科書との正しい付き合い方を提案している。
それは批判的に読むこと、他者の思想を媒介にして自分の思想を作ることだ。

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『論理トレーニング指導ノート』について

1.「論理トレーニング」の指導を
2.方法
3.「指導ノート」の使い方
4.「指導書」との関係
5.先生方との「協働」を希望します

1.「論理トレーニング」の指導を
この『論理トレーニング指導ノート』は、大修館書店の『国語総合』(国総035)を指導する先生方を対象に、その評論教材の論理的把握の指導に役立てていただくために作成したものです。
 私は国語専門塾「鶏鳴学園」で、高校生を主な対象として、三〇年近くにわたり国語(日本語)の指導を行ってきました。そこでは読み、書き、聞き、話し、考える、このすべての言語活動を指導していますが、その基礎にあるのは「論理的思考」の能力です。そして、その「論理トレーニング」を行うために、もっとも重要なのは読解指導です。特に評論読解は「論理トレーニング」そのものに他なりません。
私の読解方法は『日本語論理トレーニング』(講談社現代新書)で公開しましたが、その方法はごくごく簡単なもので、わずか三つの論理しかありません。その三つの組み合わせで、すべての論理が読み解けます。大学受験指導でも威力を発揮してきました。
この「指導ノート」は、その『日本語論理トレーニング』の読解方法で、大修館書店の『国語総合』(国総035)の評論教材のすべてを読み解いたものです。
先生方の『国語総合』の授業の中で、この「指導ノート」を生かしていただき、効果的な「論理トレーニング」が行われることを願っています。

2.方法
この「指導ノート」で使用した読解方法と使用した記号を、簡単にご説明しましょう。
(1)3つの論理(※省略)
(2)実際の文章の読み方
では、こうした三つの論理を駆使して、実際のテキストをどう読んでいったらよいでしょうか。その手順は、次のようにまとめられます。

ステップ1 論理をおさえる 論理の3点セット(対・言い換え・媒介)

ステップ2 文の流れをおさえ、そこに論理を読む

ステップ3 テキストの全体を読む

ステップ4 主体的に読み、自分の考えを作る

ステップ1では、各段落内部で3つの論理をおさえます。
次にステップ2で、段落内部の文の流れをおさえ、そこに論理を読みます。この段階では「傍流」の理解が必要です。簡単に説明します。文の流れには「本流」と「傍流」の区別があります。「本流」とは、結論に向かって論理を前に進めていく流れです。それに対して「傍流」とは、論理が前に進まず、その場にとどまる流れで、直前の語句の注釈になっていますので、それを考える必要があります。この「傍流」は(  )でくくって示しました。この範囲は読み飛ばすことも可能です。
ステップ2までが基礎の部分で、ステップ3はいよいよ仕上げの段階です。テキストの全体の立体的構成(各段落の相互関係)を読み、テキストのイイタイコト、つまりテーマ(問い)と、その問いへの答え(結論)をまとめます。これは※に示しました。
この「立体的構成」の図示でも「対」の箇所は次のように示しています。

さて、ステップ3までで、読解は一応終了です。大学入試の読解対策ならばこれで万全です。しかし、ここまででしたら、他者の考えを理解したにすぎません。ここからが本当の始まりだと思います。それがステップ4で、テキストを批判的に読み、他者の思想を媒介にして、自分自身の思想を作ることです。
「テキストを批判的に読む」とは、まずはテキストの「立体的構成」を検討し、場合によっては代案を出すことです。それによって、当然ながら著者の「テーマ(問い)」と「答え(結論)」も批判することになるでしょう。また、高校生自身が、テーマに関連する自分自身の経験を出し合い、それをみなで考える中で、テキスト理解を深めさせたいと思います。そうした作業の中で、「他者の思想を媒介にして、自分自身の思想を作ること」が可能になっていきます。
このステップ4で、読解のすべては終了です。この段階は大学入試では小論文に対応します。

3.「指導ノート」の使い方
ステップ1とステップ2の段階の論理は、テキストに記号で示し、下段で説明しました。なお、「対」と「言い換え」と「媒介」は無数に指摘できます。ですから、テキスト理解のために重要なものだけをとりあげています。
ステップ3の段階は、テキストの上部に※で示し、詳細は※にまとめて示してあります。そして、ステップ4の参考にしていただけるように、※では「コメント欄」を用意しました。
「コメント欄」ではテキストの立体的構成や論理展開について批判しましたが、あえて辛口のコメントにしました。高校生が教科書の文章を鵜呑みにすることなく、それを相対化し、批評的に読む(クリティカルリーディング)ための観点を例示したわけです。これは小論文指導にも役立てていただけるでしょう。
なお、「教科書のテキストは完全でなければならない」「批判が不可能なようなテキストを選ぶべきだ」といった考え方が一部にあるようですが、私はそうした考えに反対です。そもそもこの世界にそうしたテキストは存在しません。教科書のテキストは水準以上であれば良いのです。私たちはそれらのテキストを自由に批判しながら、その「正しさ」「大きさ」「豊かさ」「公平さ」「強靱さ」などからだけではなく、「間違い」「不正確さ」「あいまいさ」「弱さ」「偏り」などからも、学ぶことができるのです。

4.「指導書」との関係
「指導書」は、教科書の「内容」を中心に解説したもので、この「指導ノート」はあえて「形式」と「論理」に特化して解説したものです。教材数が多い教科書なので、速読の指導にも役立つと思います。
指導書にも論理や論理展開についての説明がありますが、それらとの調整はしていません。教材の読み方は多様であり、それで良いと考えているからです。私が示した読みも、絶対のものではありません。

5.先生方との「協働」を希望します
先に述べましたように、この「指導ノート」で提示した読み方が唯一絶対とは考えていません。疑問やお気づきの点などがあれば、遠慮なくご指摘ください。実際の授業で高校生を教えてみれば、教えにくい箇所や疑問点が出てくるはずです。
筆者としてはこの「指導ノート」が、現場の先生方と教材の読みを巡って対話をする契機となることを願っています。そうした対話を踏まえて読みを深め、「日本語論理トレーニング」の方法をさらにブラッシュアップしていきたいからです。
私たち国語の教師は、日本の高校生が論理的に読み書きをし、深く現実と闘っていく力を養成しなければならなりません。その使命の達成のために、志を共有する先生方と「協働」していきたいと思っています。
今回、大修館書店から「指導ノート」執筆のご依頼があったとき、お引き受けすることを決めたのは、先生方とのそうした「協働」作業ができると思ったからです。

最後に読者の先生方に辛口のコメントを一つ。
論理能力の指導には、指導者自身の論理能力の高さが前提です。そのためには、先生方御自身の「自己教育」こそが必要になります。
本書を活用していただく上では、拙著『日本語論理トレーニング』を熟読していただき、御自身の論理能力向上のために、日々のトレーニングをお願いしたいと思います。

なお、本書は鶏鳴学園の同僚であり、同志である松永奏吾と共同討議をへて作成したものです。

3月 13

2月11日の大震災の時、私は鶏鳴学園で授業の準備をしていました。
もちろん授業は中止になり、その日は帰宅できず鶏鳴学園に泊まりました。
ただし、元気でいます。

長野県の知人から次のようなメールが届きました。
「まだ全貌が見えませんが、今回の地震は東北地方だけの問題ではなく、
日本という国そのものの存亡に関わるような大惨事のような気がしてい
ます」。

私も、今回の地震の意味は大きいと思います。

自己決定ができず漂流している今の日本に、
その怯懦を改め、新生をはたすことを、
強くうながすような、大きな働きかけのように思います。

私たち一人一人が、自分自身の使命にどこまでしっかりと向き合っているか、それを再度チェックし、実践をしていきたいものです。

3月 11

今年は2回の合宿を予定しています。

 5月の3日から5日まで。
 8月の17日から21日まで。

 5月の合宿ではヘーゲルの『精神現象学』の理性論を読みます。
 文章ゼミや各自の報告の時間もあります。
 8月の合宿ではヘーゲルの原書講読の時間も取ることになります。
 全部ではなく、一部だけの参加も可能です。

 関心のある人は連絡ください。

 なお、初めての参加者には、事前に「自己紹介文」を書いていただいています。

 1. 簡単な履歴(年齢、大学・学部、仕事など)
 2. 何を学びたいのか
 3. どのようにこの学習会を知ったのか、なぜこの学習会で学びたいのか

 などを書いて、以下にお送り下さい。
 E-mail:sogo-m@mx5.nisiq.net

3月 10

江口朋子さんの「修了」を祝う会

 昨年から、ゼミは大いに盛り上がっています。
 参加者の一人一人の成長が著しく、相互に刺激を与えあって、
 ますます各人の成長に弾みがついているように感じます。

 この3月には、ついに「修了」者が出ます。
 江口朋子さんですが、約6年ほどの修業に一応の区切りをつけました。

 これまで「終了」者はいました。
 それは、ゼミに通い始めた当初の目的を達成した場合です。
 それもまた、めでたい卒業です。

 今回の「修了」は、そうした「終了」の意味も含みますが、さらに先の段階です。
 簡単に言えば、「一人でも、自分の道を切り開いてやっていける」と
 私が判断したことを意味します。

 具体的には、
 
 1.自分の人生のテーマ、人生の中心ができた
 2.自分のテーマを貫いて生き、テーマを実現するための最低限の能力と姿勢は身についた

 この2点です。

 これには前提として「親からの自立(親の価値観の相対化)」
 「民主主義者としての能力と姿勢」「学ぶ姿勢」「先生を選べ」の基準を
 クリアーしたことを含みます。

 江口さんは短歌の道に進みます。
 紆余曲折がありましたが、それらはすべて今後に生かされるはずです。
 また、江口さんには、今後、ゼミの主催者側のスタッフとして、
 新しいメンバーの受け入れを手伝ってもらう予定です。
 大学で言えば、講座の「助手・助教」のようなものです。

 この江口さんの「修了」をお祝いする会を、3月27日の晩に設けます。
 この会では、江口さん以外にも、それぞれの成果を祝いたい方々が多数参加します。
 
 

2月 07

村山 士郎 先生 特別講演会
?「聞き書きの魅力と指導法」連載終了記念? 
高校作文教育研究会3月例会

村山 士郎 先生 特別講演

演 題  事実をとらえることの豊かさとおもしろさ 
      ― 生活綴方実践から大学教育実践まで ―

メッセージ
 貴研究会で京都の八ヶ峰中学の実践に注目し、そこから「聞き書き」の今日的可能性を引き出そうとしていること興味深い視点だと思っています。80年代に私が注目した時には、学校ぐるみの平和教育としては注目されていましたが、私がもっとも大切だと思っていた表現の発達論的視点からの着目は希薄であったと記憶しています。
 生活綴方実践や私の仕事である大学教育実践において、今日、「事実をとらえること」の多面的な試みが不可欠になっています。言い換えると子どもや学生を「事実に向きあわせること」が学習主体に育てていくということです。ここに学びの原点があると思っています。その方法の一つに「聞き書き」が位置付くのかと思っています。
 私の教育学研究では、この間、「事件のなかの子どもたち」をテーマにして論文や本を書いてきましたが、その研究方法の前提には「事実と向きあう」、「事実を聞き取っていく」ことを大切にしてきました。しかし、八ヶ峰中学の生徒のようには表現出来ないもどかしさを抱えてきました。
 学習会では、上のようなことを、まとまりなく話してみたいと思っています。

村山士郎先生のプロフィール
1944年 山形県に生まれる
1977年 東京大学大学院教育学研究科博士課程修了
現在    教育学博士、大東文化大学教授
      日本作文の会常任委員会副委員長
主な著書  『生活綴方実践論』(青木書店、1985年)
      『平和を語る学校』(編著、労働旬報社、1986年)
      『子どもの攻撃性にひそむメッセージ』(柏書房、1999年)
      『なぜ「よい子」が暴発するか』(大月書店、2000年)
      『事件に走った少女たち』(新日本新書、2005年)
      『現代の子どもと生活綴方実践』(新読書社、2007年) ほか多数

高校作文教育研究会は、1998年2月に会を設立して以来、13年になります。この機会に、私たちの実践と研究をまとめようということになり、最も自信があった聞き書きについて取り上げることになりました。聞き書きは、高校生にとって、学ぶものがほんとうにたくさんあると実感していたからです。

そこで2年間ほど、研究会のテーマを「聞き書き」として、私たちの例会に全国の中学、高校、大学のすぐれた実践家17人をお招きし、聞き書きの可能性、授業で実践する際の具体的手だて、その課題などを検討してきました。
その成果は、「聞き書きの魅力と指導法」と題して『月刊国語教育』(東京法令出版 2009年7月号?)に連載してきました。約2年間、21回続いたこの連載も、2011年3月号をもって終了します。

この連載終了を記念して、村山士郎先生の特別講演会を開催します。

私たちの共同研究の成果をふまえて、さらに深めるための特別学習会です。参加者には連載の全コピー集を配布します。どうぞ、ふるってご参加ください。

1 期 日    2011年3月13日(日)13:00?16:30

2 会 場   鶏鳴学園御茶ノ水校
         東京都文京区湯島1?9?14  プチモンド御茶ノ水301号
         ? 03(3818)7405 JR御茶ノ水駅下車徒歩4分
       ※鶏鳴学園の地図はhttp://www.keimei-kokugo.net/をご覧ください
3 内容

(1) 特別講演 村山士郎先生 

(2)  報告

共同研究を終えて                                茨城 古宇田栄子

約2年間、共同研究の成果を、「聞き書きの魅力と指導法」と題して、『月刊国語教育』に連載してきました。連載を始めてすぐに、題名を「聞き書きの魅力と指導法」ではなく「聞き書きの魅力と可能性」とすべきであったと気付きました。それほど聞き書きの世界は、未知と可能性に満ちていました。共同研究では17人の実践とその生徒作品を検討しました。今回は、連載の終了を記念して、共同研究の概要、論点、そこで出会った実践家たちの珠玉の言葉等を紹介したいと思います。

 参加費   1,000円(会員無料)